【REVIEWS】You Me At Six – Cavalier Youth 〜 メロディックを通過した普遍のロックからスタジアムロックへ 〜
Released: 1/28/2014 – Prospect Park
USでAll Time LowやMayday Paradeがメキメキと頭角を現し出した2008年にデビュー。シーンへUKからの回答として話題となったデビュー以来、作品をリリースする毎に初期のPop Punkサウンドから普遍的なロックサウンドへ歩み寄ってきた彼等の、約3年振りとなる最新作。事前情報では前述したロックサウンドにより磨きがかかり、同国出身のトップバンドであるColdplay辺りの美しいサウンドを取り込んでいるらしいと聞いていた。とは言ってもまぁ、この位なんだろうな〜なんて思い描いていたが、そんな安易な予想は簡単に覆される事となった。
一曲目 “Too Young To Feel This Old” のイントロで高らかに鳴り響くギターサウンド。この時点で、これは想像以上にスケール感のでかいUKロック作なのではないかという思いが頭を過る。コーラスワーク、艶やかなストリングス、美しい旋律がラストに向かってどんどんとスケール感を増していく。まさにOasisやRadiohead以降のUKロック。そうColdplayやEmbrace、Elbow辺りを彷彿とさせるサウンドに、さらにスタジムロック的な圧倒的スケールを加えたプロダクションは、あのU2をも思わせるレベル。その他にも、Keaneの様な深海から光を覗く様なサウンドメイクに、思わずため息が漏れる “Forgive and Forget”。バンドとしての存在感を叩き付けるオルタナティヴな “Room To Breathe” や “Win Some, Lose Some”。Pop Punkを通過したバンドがUKロックのアプローチをすると、「Bleed American」時代のJimmy Eat WorldやMeleeの様なUS美エモバンドっぽくなるのかと妙に感心させられた “Cold Night” や “Carpe Diem”。そして自身のルーツは忘れていないと言わんばかりに疾走する “Hope For The Best” が、この様なヴァリエーション豊かな楽曲群に挟まれる事でさらに輝く。
メロディーよりも疾走感だったり音の分厚さを好むリスナーには物足りない、ともいう意見すらも論破出来る程に説得力に満ちたメロディーの詰まった作品だ。パンクやエモのシーンで、こういったクロスオーバーした作品が賞賛される事は少なくないが、この作品はそういった橋渡し的な一枚ではない。多くのメロディー・オリエンテッドなロックリスナー全てに訴求出来る作品だ。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ