【REVIEWS】ENDER – 21g 〜遂に現れた、国内シアトリカルサウンド〜
Released: 3/5/2014 – maximum10
いよいよだ。シアトリカルについての特集をしてから僅か、早くも日本国内からもその直系とも言えるサウンドを大々的に鳴らす注目のバンドが登場した。2011年にNEW STARTING OVERやGUN DOG、FAITHという錚々たるバンドのメンバーで結成されただけあり、既に一部では話題になっていた彼等。数枚のデモ音源や所属するmaximum10のコンピレーションでその音楽的ベールを徐々に脱いできた訳だが、いよいよこの1stフルアルバムでその全容が明らかになる。
まさに中世ヨーロッパの退廃したモダニズムを象徴するかの様に荘厳な序章で、一気に作品の世界へ引きずり込んだ後、We Came As Romansの様な焦燥感溢れるシンセがのたうち回る “Misery” で一気に疾走。Aidenを思わせるホラーパンクの疾走感は続く “Sleepless/Whisper” でもメタリックなリフと共に繰り出される。後期Madina Lakeの様なダークなオルタナティヴサウンドを持つ “Lullaby For You”、北欧シンフォニックメタル直系下のリフからスタートする “Fake In Every Single Way”、スウィングする軽快なリズムを持つ “Fake In Every Single Way” や “I’m Still Alive”。その他Chiodosを思わせるワルツのリズムや “Precipice” でのBlack Veil Brides的ゴシック要素の強いメタリックなリフ。こういった海外からの影響を取り込みながらも、歴戦の経験者達だけありしっかりと自分達のアイデンティティを埋め込み、決してブルータルではなくデカダンなメロディーをフィーチャーしている点は流石の一言。“Hope” でのタメにタメてから放たれるスクリームは圧巻だ。
トータルで21トラックという凄まじいヴォリュームの作品であるが、エク○シストのフレーズに思わずニヤリとさせられる “Tubular Bells” をはじめとしたインストや、要所要所に入れ込まれているSEトラックも作品の作品全体の世界観をより増長させる役割を見事に果たし、飽きさせない。後はここからバンド独自の武器を増やしていけるか、Wrong Cityと共に非常に楽しみなバンドの登場だ。
テキスト:鎌田 裕司 a.k.a. わいけ