【REVIEWS】HER NAME IN BLOOD – HER NAME IN BLOOD 〜 「世界水準」という陳腐な言葉はいらない 〜
Released: 4/23/2014 – TRIPLE VISION
2007年に現在のバンド名になって以降、西はCrossfaith、東はこのHer Name In Bloodと呼ばれていたのも随分と懐かしくも感じる。彼等のLiveを見たのは2008年に開催されたTaste Of Chaosというイベントだったが、そこから約7年、もはや別バンドとも言うべきモンスターレベルのパフォーマンスを叩き付ける凄まじく強靭なバンドとなった。昨年に行なわれたNo Blur Circuitから今年に入ってからのSCREAM OUT FES. 2014、After TonightのラストLive出演時と、ここ半年弱だけでもその進化の速度はさらにアップしていた。
そんな中、いよいよフルアルバムとしては前作「DECADENCE」から約4年振りとなる貫禄のセルフタイトル作がリリースされた。2013年にリリースされた「THE BEAST EP」もまた強烈な一枚だったが、完全にここに繋がるまでの布石の一つだったと確信する。
スラッシーになだれ、2stepよろしくのモッシーなスピード感へ転調。Ikepy氏のクリーンパートも顔を覗かせる、非常にストレートながらHer Name In Bloodとしての新機軸を存分に感じさせるリード曲 “Halo” をはじめ、北欧インフルエンスをフィーチャーした “If I Melt Away” やバンド史上初のインタールード曲 “Dusting”。サザンロックからのインフルエンスを爆発させる “Pray To The Sun”。過去最高にブルータルでブラストビートが壮絶な “Impluses Within” やホラー映画のサントラにも収録されていそうな終焉感を持つ “City Of Desperation” 等、これまで以上に多彩で柔軟なアプローチがそこかしこに散りばめられている。テクニック的な側面は勿論、コーラスワークや楽曲の展開にも耳を傾ければ傾ける程に新たなる発見が。2010年に発表されたシングル「Confusion」のB-sideである “A Clown Drawns His Self-portrait” のリテイクが “The Clown” というタイトルで収録されてたりと、遊び心も満載だ。ミックス/マスタリングにはA Day To Remember、The Ghost Insideなどを手掛けてきたAndrew Wadeをむかえた事もサウンドトピックとしてはあるが、それ以上にメンバーそれぞれの個性が光っている印象が強い。
全12曲、肩肘張らないクールさを持ち合わせながらも、バンド流のメタル愛が詰まった一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada