【REVIEW】Miss Fortune – Spark to Believe 〜 遂にSumerianから極上唄モノのポストハードコア 〜
Released: 5/19/2014 – Sumerian
Asking Alexandriaの大ブレイク以降もメタルコアやデスコアのみならずPeripheryやAnimals As LeadersといったDjent/Progressive/Tech Metalのバンド、そして††† (Crosses)やDayshellといったポスト・オルタナティヴなバンドといったバンドを輩出し、レーベルカラーを残しつつも徐々に幅を広げてきた感のあるSumerian Records。そんな同レーベルから、I See Stars以来久々にレーベルカラーから逸脱したバンドが登場した。ここまでスクリームがほぼ皆無のサウンドはレーベル史上初だろう。
2013年に結成されたばかりのバンドではあるが、最初に発表したシングル “The Double Threat of Danger” にいきなりIssuesのTyler Carterをフィーチャリングした事で、その名を一躍全米に轟かした彼等。そして前述のSumerian Recordsと契約し、EmarosaやSleeping With Sirensを手掛けてきた名プロデューサーKris Crummettと共にレコーディングされたのが本作だ。まさにこのKrisが最も得意とするサウンドに仕上がっており、Dance Gavin Dance〜Emarosaを渡り歩いてきたJonny Craigチルドレンとも言えるソウルフルな唄声を披露しまくるMikey Sawyerのボーカルを柱に、初期Sleeping With Sirensの様な叙情感と捲し立てる様に言葉を詰めたメロディーラインが最高に気持ち良い “We’re Not In Kansas Anymore” や “My Apologies”。前述のデビューシングル以降、唯一モダンなポストハードコア要素を前面に出した “I’ve Got A Five Point Plan”。ポップパンクの要素すら取り込んだ “Take That Shit Back to Baxter”。そして難解さや無駄なプログレッションを排除し、疾走しながらも妙な妖艶さを持ち合わせる “A Lost Cause” 辺りはPierce The Veil辺りのファンも唸らされる佳曲だろう。
初期のモダンなポストハードコア/スクリーモからだいぶ変化した感はあるが、こうして素晴らしい魅力のある唄の上手いボーカリストと魅力的なソングライターを擁するバンドは、どんどんこうした変化をして欲しいと個人的には強く強く願う。
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テキスト:Yuji Kamada