【REVIEWS】Hidden Hospitals – EP 001 + EP 002 〜 ポストハードコアからハイブリッドな近未来オルタナティヴへ 〜
Released:2014/7/2 – Cars & Calories
ChiodosにカリスマフロントマンCraigが戻ってきたタイミングで、同バンドに加入したギタリストThomas Erak。元々Chiodosが在籍していたEqual Visionというレーベルの中で、彼がそのChiodosと二強と呼び声高かったThe Fall Of Troyのフロントマンだった事は知る人ぞ知る事実。当時Equal Visionはレーベルカラーとも言える程に、個性の強いポストハードコアバンドを輩出していた訳だが、丁度その前述の2バンドに続いていたのが、現Hidden HospitalsのDavid RaymondとSteve Downsが所属していたNY州バッファロー出身のバンドDamieraである。現Into It. Over It.のEvanが過去に在籍していた事でも知られているが、プログレッシヴかつテクニカルなインテリジェンス溢れるポストハードコアサウンドは、Equal VsionのバンドだけでなくDance Gavin Dance辺りともリンクしており、リスナー、アーティストから共に絶賛される素晴らしいバンドだったのだが2011年頃に解散。そしてその後フロントマンであるDavid RaymondとギタリストであるSteve Downsが新たに結成したのがこのHidden Hospitalsというわけだ。My Chemical RomanceやThursday、Midtownを輩出した名門Eyeball Recordsに所属していた奇天烈カオティックポップバンドKiss KissのJared Karnsも在籍していたりと、何かとコアなリスナーの間では話題となっていた彼等だったが、自主制作でリリースしていた二枚のEPをコンパイルした作品で遂に日本デビューを果たした。
PVも制作された “Swan Dive” からいきなりぶっ飛ばされるが、Damiera時代からさらにスタイリッシュになったサウンドは、まさにポストハードコア畑出身のMutemathとも形容出来る程のハイブリッドっぷり。“Poet & Liar” や “The Absence of Emotion”、“Lullaby” 等、Damieraを踏襲したサウンドを前面に出した楽曲にもまた悶絶させられ、あのヒリヒリとした焦燥感が聴ける事が何よりも嬉しい。しかしさらに嬉しい誤算なのは、そのハイブリッド感なのだ。アーティストによってはそこに嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、彼等は文句の付けようもない程に昇華させている。
技術が進歩し過ぎる事によって荒廃していく様々な事象に対して警告を鳴らすのではなく、その情景のBGMの様にスタイリッシュで退廃的なそのサウンドは間違いなく昨今のシーンで置き去りにされた何かを呼び起こさせてくれるだろう。
テキスト:Yuji Kamada
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