【REVIEWS】5 Seconds Of Summer – 5 Seconds Of Summer 〜 ポップロック旋風を巻き起こす若きヒーロー 〜
Released: 7/22/2014 – Capitol
ポップロックの歴史に新たな息吹をもたらした、5 Seconds Of Summerのデビューアルバム。全米デビューを果たすやいなやビルボードチャートで初登場1位と言う輝かしい記録を樹立したばかりの彼らは、17歳~19歳のメンバーからなる4人組だ。2011年オーストラリアはシドニーで結成されると、翌年にはHot Chelle Raeのオープニング・アクトに抜擢され、一躍世界にその名を馳せた。現在はなんと事務所の先輩であるOne Directionとのワールド・ツアー中。その一挙一動がジャンルレスに注目を集めている期待の新人なのだ。
これまで影響を受けたアーティストにGreen Day、Good Charlotte、All Time Low、Mayday Paradeと言ったバンドを挙げているだけあって、徹底された美メロと鼓膜に焼きつくキャッチーさが溢れんばかりに詰め込まれた作品となっている本作。世界55カ国のiTunesチャートで1位を獲得と言う驚異的な記録を持つ至高のポップロックチューン “She Looks So Perfect”、つい口ずさんでしまいそうな小気味良いフレーズと爽快感満載なサビが心地よく響く “Good Girls”、胸を高鳴らせる煌びやかなメロディーラインとコーラスがめくるめく交錯する “Kiss Me Kiss Me” と、聴く者の心を瞬時に掴むアップリフティングな楽曲がズラリと並んでいる。さらに、ストリングスも織り交ぜた壮大な音像がドラマティックに展開する “Beside You”、流れるようなアコースティックの音色に伸びやかなヴォーカルワークが美しく折り重なる “Amnesia” と、あくまでポップにこだわりつつも、振れ幅の大きなサウンドをしっかりと聴かせてくるあたりも心憎い。デビューアルバムにして圧倒的な完成度を誇る本作はポップパンクと言うジャンルだけでなく、音楽シーンそのものを動かしていく作品にふさわしいと言えるだろう。
現在進行形で爆発的にファンベースを拡大している5 Seconds of Summerの手によって、ポップパンクはより大きなムーヴメントとなり、ますます活性化していくのだろう。時代が待ち望んだ若きニューヒーローから、今後も目が離せない。
テキスト:Leyna Miyakawa