【REVIEWS】The Color Morale – Hold On Pain Ends 〜 変化と進化を両手で掴むバランス感覚 〜
Released: 9/2/2014 – Fearless
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2007年に米イリノイ州で結成され、二年も経たずして現USレーベルの最高峰であるRiseと契約。三枚の作品をコンスタントにリリースし、その度に確実に階段を一歩一歩上ってきた彼等の勝負作だ。より広いフィールドで勝負したいという思いも強かったのだろう、同じくUS最高峰の一つであるFearless Recordsへレーベル移籍を果たし、心機一転の一枚ともいえる。前作「Know Hope」リリース前にギタリスト2人が脱退してしまう悲劇に見舞われたが、新メンバーを迎えて制作/発表された同作はBillboard Heatseekers Chartにて1位を記録と、バンド最高位を記録。リスナーの期待を良い意味で裏切りながらも、しっかりとその手を離さない素晴らしい内容にてさらなる注目を集める結果となった。こうしてそんな逆風もはね退け、バンドとしての結束もより強固になった中でリリースされたのがこの4枚目となる新作である。
前作での変化を考えると、今作はもうスクリームほぼ無しの純粋なポストハードコア的作風になるのではないかという予想が立っていたが、フタを開いてみれば再びこうした予想を嬉しいまでに裏切ってくれる。ハイブリッドなサウンドで刻まれるリフから一気に疾走する“Outer Demons” からして既に一皮も二皮も剝けた振り切れ感だが、それ以外にもまさか彼等まで?!というnu-metal要素を大胆に取り込んだ “Damnaged” や “Lifeline (Left to Write)”。超アグレッシヴな “Developing Negative” 等ブルータルなパートはとことんにブルータル。そして彼等の持ち味である浮遊感溢れるギターとエモーショナルな唄声、叙情感、そして刹那のメロディーが絡んでいく “Prey For Me”、“Suicide;Stigma”、“Is Happiness a Mediocre Sin?” といった楽曲もきちんと収録。このどちらかに偏り過ぎる事なく、同時にリスナーを置いてく事なく実験的な新要素を組みこんでいるのが、彼等の毎作聴き所であるのは間違いない。
1stから変わらぬ圧倒的存在感を放つGarret Rappの唄声が軸となっているからこそ、逆に新機軸が見えにくくなってしまうのはカリスマがいるバンドの宿命ともいえるが、そこすらもきちんと理解しつつ挑戦し続けている彼等の姿勢には今作も敬服。正直もう少し激変させても良かった気もするが、彼等の事だからきっと思惑もあるのだろう、ここから期待したい。
テキスト:Yuji Kamada