【REVIEWS】Capture The Crown – Reign of Terror 〜 メタルコアからラウドコアへ 〜
Released: 9/17/2014 – TRIPLE VISION / Artery
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それまで各メンバーがやっていたバンドが解散し、2010年に結成されたオーストラリア新世代最強メタルコアバンドの最新作。オーストラリアといえばI Killed The Prom QueenやParkway Drive、Confession、The Amity Affliction、Buried in Verona…etc、アメリカやワールドワイドで頭角を現したバンドを数多く輩出してきた訳だが、そこに続くのが間違いなく彼等だ。結成翌年、最初に発表した“You Call That A Knife? This Is A Knife!” のMVが一年も経たない間に100万回再生を突破。同PVはその後も凄まじい勢いで再生回数を伸ばし現在までに900万回(!!) を突破している。本国でもLiveをまだ行っていない中でいきなり世界中のメタルコアリスナーから熱視線を浴びた彼等は、その後もシングルやカバー曲を発表し、2012年12月には米Sumerian Recordsとの契約を発表。同月、待望となる1stアルバム「’Til Death」がリリースされ、輸入盤を中心にここ日本でも大きな話題となった。Vans Warped Tour UKをはじめ、Crown the EmpireやEvery Time I Die等、新旧問わずのナショナルアクト達とステージを共にした2013年だったが、10月にSumerianとの契約が解消された事を発表。再び未契約となった彼等だったが、クラウドファンディングサービスIndiegogoにてファンから資金を援助してもらう形で新たなマテリアルを制作。こうして出来上がったEP“Live Life” を2014年自主リリースした。そんな自力もある彼等をレーベルが見逃す訳はなく、同年4月にはArtery Recordingsと契約。間髪入れずにレコーディングに入り完成したのが今作となる。
今作は再始動が決まったFrom First To LastのメンバーであるMatt GoodとTaylor Larsonによるプロデュース。今作のタイトルでもあり、強烈なブレイクダウンを擁するイントロ“Reign of Terror” から幕を開け、Jeffreyの強烈なスクリームがのたうち回る “Red Light District” へ。その対比ともいえるクリーンパートも非常に明確だ。強烈なタイトルとメッセージ性がインパクト抜群の “I Hate You” や捲し立てる様なボーカルスタイルが印象的な “To Whom It May Concern” 等、メタルコアの王道ともいえる楽曲が並ぶ前半。しかし今作の聴き所は間違いなく後半4曲だろう。モダンでスケール感ある、まるでLinkin Parkのような “Beating the Blade” や鬼気迫るスクリームを炸裂させながらバウンスしまくる縦ノリを混ぜ込んだ “Firestarter”。同じくモダンオルタナティヴな要素を炸裂させた “Make War, Not Love” もそうだが、要所要所にラップスタイルのボーカルが入る辺りは完全にトレンドを意識した作りになっている。そしてラストはアコースティックギターをフィーチャーした美しいバラード “Janina”。このラスト4曲をいきなり聴かされたら間違いなくCapture The Crownだと分からない程に攻めた楽曲だ。次の一手がどうなるかのワクワクを聴き手に与える程度の、絶妙な進化。賛否両論はありそうだが、個人的には前作や周りと同じ事をしても仕方ないと思うので彼らの挑戦には賛辞を贈りたい。昨今、海外では冗談半分でLoudcoreなんて呼ばれているバンドも見かける(流行る事はないだろう.笑)が、彼等は悪い意味でなく良い意味でその言葉を冠したくなるサウンドに仕上がっている一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada