【REVIEWS】NEW BREED – The DIVIDE 〜 新機軸を打ち出した、新たなる出発 〜
Released: 10/15/2014 – new born / TRIPLE VISION
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2003年結成以降、長い間アンダーグラウンドでの活動を経て2010年遂にZESTONE RECORDSと契約。そこから1st作「Heart racing moments for all Lovers & Haters」をリリースし、当時ワールドワイドで見ても最先端だったエレクトロをいち早く導入。一躍その名を広めた彼等は、その後も数々のコンピレーションCDに参加すると同時にBreathe Carolina やPierce The Veilといったトップクラスのナショナルアクトの来日をサポート。2012年にはシングル「A Little Bit of Bitterness」をはさみ、2nd作「the PIONEERS of SENSATION」を発表と確実にステップアップしてきた。そんなバンドが放つ約二年振りとなる最新作だ。デビュー作はBetween the Buried and Me等、プログレッシヴなメタルコアの作品を手掛けてきたJamie King。2ndはSleeping With SirensやMemphis May Fire、The Word Alive等数々のポストハードコア/メタルコアの傑作を手掛けるCameron Mizell。これまでの作品が世界最高峰の名プロデューサーの手によるものだっただけに今作はどうなるのか楽しみな所であったが、今作は一曲だけBABYMETALやももいろクローバーZの楽曲なども手がけたNARASAKI氏が手掛けているものの、全体はセルフプロデュースという所にバンドの気合いが伺える一枚となった。
Liveでのオーディエンスによるシンガロングが目に浮かぶ掛け声から、Mayday Paradeを彷彿とさせるドラマティックなメロディーラインを擁しながら一気に疾走していく “Things we’ve lost”。これまでのバンドの飛び道具となっていたエレクトロを封印し、キャッチーでエモーショナルなパートが全体を支配するものの、要所要所でメタリックかつアグレッシヴなパートが配置。バンドの新たな表情が見える新たなアンセムとなっている。前述の通りNARASAKI氏が手掛けた “Once said not found” では印象的なシンセが楽曲の爽快さをさらに際立たせ、ツインリードとテクニカルなギターソロが楽曲を先導。そして作品のド真ん中に配置された “4WAYS+1” ではNEW BREED流の超極悪なデスコアパートとエモーショナルなメロディーを僅か1:20という短い尺にまとめ、続く “Untitled” のイントロではシンフォニックかつこれまたスラッシーに雪崩れていく。荘厳でダークなファンタジーの様な世界観を展開する同曲もまた、これまでのバンドらしくはありながら確実にネクストレベルだろう。ラストにはコンピレーションにも収録されていた “Out of reach…”。爽やかで青き疾走感が溢れながら、途中ではカオティックなまでに乱れるDubstepパートに吹き飛ばされる一曲。
今作からTRIPLE VISIONとパートナーシップを組みながらセルフ・マネージメントで活動、というスタイルをとった彼等の新たなる門出を飾る強烈な一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada