【REVIEWS】Man Overboard – Passing Ends 〜 裸のエモーション、剥き出しのエモーション 〜
Released: 10/28/2014 – Lost Tape Collective / ICE GRILL$
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2010年にRufioやPunchlineと共に待望の初来日を果たし、2013年にはDaylight、Kojiを従えて再来日。ここ日本でも確固たるファンベースを築き上げているポップパンクバンドの最新作。全米Billboard46位を記録した目下の最新作「Heart Attack」を含めてここ二作はRise Recordsからのリリースであった彼等だが、このニューマテリアルは自分達で立ち上げた新レーベルであるLost Tape Collectiveからのリリースとなる。元々商業的にどうこうというアティテュードのバンドではないが、自身のやりたいように制作した事が良く分かる等身大の魅力がぎっしりと詰まった一枚に仕上がっている。
浮遊感のあるシンプルなエレクトロとかき鳴らすアコースティックサウンドをバックに、青い唄声を存分に披露した “Twenty Years”。今作唯一の完全フルバンドサウンドで鳴らされるタイトルトラック “Passing Ends” での、ポップパンクを超越したレベルのエモーションは初期Taking Back Sundayや初期Brand Newを彷彿。ここまでの二曲で想起出来る青き空から一転、雨の降る曇り空から徐々に晴れていく空の様なサウンドスケープを感じさせる “Stood Up”。そして「Heart Attack」の冒頭を飾る “Secret Pain” のアコースティックで改めてバンドの持つ唄心を聴かせ、ラストは温かくも力強いコーラスワークが沁みわたる “For Vince”。本国でリリースされている作品はここまで全5曲のEPだが、何とICE GRILL$からリリースされる国内盤にはボーナストラックとして今年6月にボストンで行われたライブ音源を全17曲完全収録。エモーションをじっくりと噛み締められるこれまでの5曲で胸に秘めたものを一気に爆発させられる粋な収録内容で、ファンはたまらない仕様だろう。ただしコア向けではなく、バンドの代表曲は見事なまでに網羅されているので入門編としてもオススメ。
テキスト:Yuji Kamada