【REVIEWS】Major League – There’s Nothing Wrong With Me 〜 オルタナティヴ化した新体制一発目 〜
Released: 11/5/2014 – ICE GRILL$ / No Sleep
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2009年結成後、その実直な程に熱いサウンドで新世代ポップパンクシーンにおいて一気に頭角を現したフィラデルフィア産。2011年にはAfter Tonightとのジャパンツアーで初来日。さらに2013年にはChunk! No Captain Chunk!と共に再来日を果たし、No Blur Circuit 2013への出演を含めて素晴らしいパフォーマンスを見せここ日本でも確固たるファンベースを築き上げた。2014年に入り突如フロントマンであるNick Traskが脱退するものの、それまでギタリスト兼コーラスを担当していたBrian Joyceがメインボーカルへ。プロデュースにはもうこの界隈お馴染となったWill Yipを迎え、バンドの顔が交代してから初となる最新作が完成した。
個人的にはフロントマンは変わってもメインソングライターであるBrianがそのまま楽曲を手掛けているという事で、そこまで大きな変化を遂げてくるとは予想していなかっただけに先行で公開された “Pillow Talk” を聴いた時も「ちょっと毛色の違う曲を先行公開したんだろうなぁ」 という印象くらいしか受けなかったが、作品全体が大きくシフトチェンジしている。とはいっても疾走曲がなくなった訳ではないが、“Kaleidoscopes” や “Devil’s Advocate” といったBPMの速い楽曲達もこれまで以上に男らしくセンチメンタルで、A Loss For Words辺りのファンは悶絶必至。そして何よりも感じ取れるのは昨今のシーンのトレンドワードにもなりつつあるオルタナティヴ要素だろう。青く晴れた空を見上げる様な世界観というよりは、より内省的なマインドを表現した様なサウンドとなっているのはMVにもなった “Just As I Am” でも顕著だが、何よりもこの曲をリードトラックに持ってきた辺りにメンバー達の想いが詰まっているのだ。Title Fight、Basement、Man Overboard、Such Goldといったバンド達もそうであったように、彼等もまたよりアーティスティックでリアルな感情を吐き出す方向へシフトした訳だが、単にトレンドにのったのではなく湧き上がるエモーションを純粋なまでに叩きつけたいという欲がそこかしこに迸っているのは、聴けばお分かりの通りだろう。後はこの流れが主流になりつつある今、どうやってオーバーグラウンドに向けて自分達の武器を打ち出せるかが鍵となりそうだ。
テキスト:Yuji Kamada