【REVIEWS】Pvris – White Noise 〜 シーンに舞い降りた新たなる歌姫 〜
Released: 11/4/2014 – Velocity / Rise
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前身バンドOperation Guillotine解散後、2012年に新たに結成された米マサチューセッツ産。元々はHit The LightsやA Loss For Words、There For Tomorrowのメンバーがバックアップした事により早くからポップパンク・リスナーの間では話題となっていたバンドが、Velocity/Riseと契約。ここ日本でも2014年4月にA Loss For Words、After Tonight、Wind In Sailsと共に4 Way Splitがリリースされ、9月にはボーカルのLynn Gunnが来日という事で急速にその知名度もアップしていた。そんな彼女達が結成年に自主制作でリリースしたEP、今年2014年に発表したアコースティック作に続き、いよいよその全貌をワールドワイドに叩きつける1stフル作が発表された。
オルタナティヴロック、エレクトロ、アコースティックと、大きく分けて彼女達のサウンドは三本の柱で成り立っているがそのふり幅は非常に広い。カラフルというよりはモノクロで低温の中じわじわとエモーションが湧き上がっていく様な楽曲構成を持った “Smoke” は、まさにバンドの世界観を象徴しつつ幕開けに相応しい一曲。そして今作から最初のリードトラックとなった “St. Patrick” ではその世界観を崩す事無く一気にダンサブルに高揚。こうしたマス向けな楽曲をさらに力強いバンドサウンドで炸裂させた “My House” では、また全然違う表情を見せる。そして “Holy” や “Eyelids” では内向的かつ退廃的なエレクトロインディーロックを披露。その他にも聖歌隊の唄声をサンプリングした様なコーラスワークが楽曲全体の大きなフックとなっている “Mirrors” や、Policeの某代表曲を彷彿とさせるリフが70’s後半から80’sにかけての空気感を想起させる “Ghosts”。ラストの “Let Them in” ではParamoreにも引けをとらないエモーショナルなロックサウンドを高らかに鳴らす。
Lynn嬢の存在感ある唄声や佇まいは勿論だが、圧倒的にポップでキャッチーという方向性ではないバンドであるにも関わらず耳に残るフレーズやメロディーラインが多いのもまたバンドの武器だろう。今後も要注目の逸材だ。
テキスト:Yuji Kamada