【REVIEWS】Copeland – Ixora 〜 美しきガラス細工の様な復活作 〜
Released: 11/24/2014 – Tooth & Nail
AltPress.jp Rating:
Jimmy Eat World以降にMAEと並ぶUS美エモの最高峰として君臨し、その後のWaking AshlandやMeleeといった後続のバンド達に多大な影響を与えたCopeland。2008年にリリースしたバンド4枚目となる「You Are My Sunshine」を最後に一度解散した彼等だが、2014年の頭に活動再開が発表、遂に復活となる。単なる期間限定の復活ではなく、約6年という歳月を経てこうして最新作がリリースされる事が何よりも嬉しい。これまでAnberlinのフロントマンStephen ChristianのソロプロジェクトであるAnchor & Brailleの作品等を手掛けてきた経験のあるボーカルのAaron Marshが、ただ他の仕事や無駄に月日を過ごした訳ではなく、この活動再開までにどれだけ多くの音楽を吸収し、それをアウトプットする術を手に入れたかが良く分かる作品となっている。そんな彼がセルフプロデュースをしたこの最新作だが、正直「ため息が漏れるほどに美しい」という類の、これまでの彼等のサウンドを比喩する言葉すら陳腐になるほどに圧倒的に美しいものに仕上がった。
爪弾かれるアコギと温かみのあるオルガンのサウンドが混じっていく “Have I Always Loved You?”。ピアノとエレクトーンという二つの鍵盤楽器に繊細なエレクトロニカがのる事で、冷気とすら表現できる世界観に拍車をかける “Disjointed”。ギターの刻みを交えながら、徐々に熱を帯びていくエモーショナルな展開に立ち尽くすばかりの “I Can Make You Feel Young Again”。Radioheadを彷彿とさせる実験的なリズムとミニマルなサウンドスケープが展開していく “Lavender”。こうした新機軸も打ち出しつつ、さらに音数を抑えながらどれだけ自身の世界観を深化させられるかに挑戦したのではないかと聴き手に感じさせる辺り、相当のインプットをした事は間違いない。
内向的でありながらもどこか凛とした空気感を持ち合わせた作品を産み出せるのは、世界でも彼しかいないと誰もが認めざるを得ない。この6年という年月の間に各リスナーの中で起きた変化や出来事、思い出、新たに芽生えた感性。そうしたものを重ねながら、この崩れ落ちそうな叙情詩に耳を傾けるべき一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada