【REVIEWS】Whether, I – Catalyst 〜 2014年を締め括る最上級ポストハードコア 〜
Released: 11/28/2014 – InVogue
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の勢いはとどまる事無く、現在も次々と新たなバンドを輩出するポストハードコア界。今年も多くのバンドが出現しシーンを賑わしてきたが、そんな2014年を締め括るに相応しい完璧なまでに完成されたデビューフル作をリリースするのがこの米テキサス産。2013年に自主制作でリリースされたEP「Dremcatcher」にて、既に早耳ポストハードコアファンから大絶賛された彼等が2014年に今作のリリース元であるInVogue Recordsと契約。前述のEPをリマスターして再リリースした後、今作のレコーディングへ。こうして完成されたのが、彼等の名を大きく知らしめる事になる事間違いないこの「Catalyst」である。これまでリリースされてきた数々の名盤の、良い所取りといっても過言ではない程に素晴らしいクオリティーとモダンさが集約された作品となっている。
近未来感と退廃的かつ壮大なプログラミングが聴き手を作品の世界観へと引き込むイントロを持ち、そこから一気にブルータルなパートとアンセミックなバースに展開していく “Among Lions”。クリーンパート担当のKalebとスクリーマーJoshuaのツインボーカルが交錯していく “Here’s To Tonight”。復活を発表し、2015年には新作リリースも決まっているAtreyuをポストハードコア風にアレンジした様なメタリックなリフが、楽曲を引っ張るタイトルトラック “Catalyst”。奥行きと浮遊感溢れたギターサウンドとKalebのハイトーンが印象的な“Novelist”。We Came As Romansを想起させる繊細で美しいプログラミングが楽曲全体を引き締める “Fox Tale”。そしてSlavesのJonny Craigがいぶし銀の唄声で華を添える “Gemini” や、同郷かつツインボーカルだという事やサウンドの方向性も非常に近いものを感じるMyka,RelocateのMichael Swankが参加した “Honor Offer”。そのMyka,Relocateと同じくArtery Recordingsに所属する、これまたツインボーカルのポストハードコアIncredible Meの方割れDillion Jonesがエモーショナルかつソウルフルな唄声を聞かせる “Hourglass” 等、フィーチャリングされているアーティストの人選も最高だ。ハイブリッドでシンフォニック、メロウで切ないメロディー、Issuesの様なソウル要素といった昨今のポストハードコアのトレンドを全て入れ込んでいるだけでなく、何よりも絶対的に耳に残るメロディーワークを書けているバンドは強い。そう改めて認識させられる一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada