【REVIEWS】Manafest – The Moment 〜 ミクスチャーという域を飛び越えて辿り着いた境地 〜
Released: 1/14/2015 – ZESTONE
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2000年にカナダ出身Chris Greenwoodの音楽プロジェクトとしてキャリアをスタートさせて以降、単なるクリスチャンラッパーではなく、ラウド要素をミックスしたサウンドでここ日本でも高い人気を誇るManafest。2003年にデビュー作「My Own Thing」、2005年に「Epiphany」を発表したが、その名を世界に知らしめたのは間違いなく2006年作の3rdフルアルバム「Glory」であろう。“カナダのエミネム”、”一人Linkin Park”と揶揄され始めたのもこの頃だが、見事にその合間を抜く様なハイブリッドでアグレッシヴかつメロウなManafestサウンドはここから確立され始めたと言っても過言ではない。その後も作品をリリースする度にぶれる事無く正当に進化してきたが、この7枚目となる最新作ではラウド/ミクスチャーの範疇では括れない程に、バリエーションに富んだ楽曲が収録されている。
たたみ掛ける様なライムからスケール感のあるサビへと展開するタイトルトラック “The Moment” から幕を明け、続く “Edge Of My Life” では冒頭のアコースティックギターの音色が徐々にメインのリズムと同期。ドープかつ横ノリのリズムが心地よい “Criminal” や、その世界観をよりピースフルかつオーガニックに変化させた様な “Love Wide Open”。今作で唯一ラウドにギターが鳴り響く “Paradise”、同じギターでもより大胆不敵に鳴らされているのが印象的な “Bull In a China Shop”。自身のアティテュードや想いを強くリリックに反映した “My Way”。そして日本盤ボーナストラックには、現在注目度が俄然上昇中のNOISEMAKERのフロントマンAGをフィーチャーした “Cage” も収録。以前CROSSFAITHのKenをフィーチャリングした過去もあるが、また全く異なった表情を見せる楽曲に仕上がっている。こうして収録された楽曲達はこれまで以上に多彩なアプローチになっており、一匹狼からオンリーワンな存在へと、また一つその存在感を高める事に成功したターニングポイントとなる作品だ。
テキスト:Yuji Kamada