【REVIEWS】Funeral For A Friend – Chapter and Verse 〜 ポストエモーション、過去最高に迸る激情感 〜
Released: 1/21/2014 – Grindhouse
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なんて悲しみと慈愛に溢れた作品なのだろう。聴き終った後、猛烈な虚無感と一握りの温かさが残るパンドラの箱とも揶揄できる一枚となった。もはや説明不要、2000年代初期から活動し続けるスクリーモ/ポストハードコアバンドはもう片手で数えるほどしか残っていない中、常に第一線でそのサウンドを鳴らし続けてきた彼等の7枚目となる最新作がリリースされた。プロデューサーにはこれまでGnarwolvesやSharks等を手掛けたLewis Johnsを迎えており、オーバープロダクションではなくバンドの生の音を活かす事を得意とする彼ならではの手腕と、バンドの持つ直情的なエモーションが見事にミックスされた一枚に仕上がっている。
バンド名の元となったPlans Mistaken For Starsすら彷彿とさせる、感情を徐々に爆発させる “Stand By Me For The Millionth Time”。同じく激情感を散りばめながらもシンガロングパートを盛り込んだ “Pencil Pusher” や、ファストに過去最高レベルに感情が暴発しまくるオールドスクールな “Modern Excuse Of A Man” 辺りは戦慄すら覚える程に情念が籠っているが、勿論彼等ほどの百戦錬磨がそんな一辺倒なアプローチしか出してこない訳がない。初期のキレキレなメタリックなリフと疾走感に思わず空を見上げる “You’ve Got A Bad Case Of The Religions”。Refused辺りを思わせる、圧倒的テンションと特有の曇り空を突き抜けていく様なメロディーが融合された “You Should Be Ashamed Of Yourself”。リードギターが主旋律と共に並走していく “Donny”。そして先行でMVも公開された “1%” では、La DisputeやPianos Become The Teeth辺りのUSポスト激情界隈にも通じる退廃的な世界観と、琴線に触れてやまない余りにも切ないメロディーが織り込まれたここ数年で最もエモーショナルな楽曲になっている。こうした感情を爆発させ、エモーショナルな側面をどれだけ前面に出したとしても、その遥か先に待っているのは温もりと情なのだという事を改めて知らされるマスターピースだ。