【REVIEWS】Adventures – Supersonic Home 〜 温かなUSインディーの唄心 〜
Released: 2/17/2015 – Run For Cover (国内盤3/4 ICE GRILL$)
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アメリカを代表するハードコア名門レーベルの一つ、Deathwish Inc.から二枚のアルバムをリリースしている事もあり、日本でも熱狂的な信者がいるペンシルヴァ二ア産ハードコアバンドCode Orange。そのメンバーであるJami Morgan、Reba Meyers、Joe Goldmanの3人を中心に、当初はお遊びバンドとして2012年初頭に始動したのがこのAdventures。お遊びとはいいながら同年にはNo Sleep Recordsとしっかり契約を果たし(笑)、初の音源「Adventures」を7inchで発表。その後も二枚のSplitを発表しながら楽曲制作とレコーディングを進め、こうして遂にデビューフル作を完成させた。
元々Code Orange本体がハードコアだけを聴いていただけのメンバーがやっている訳ではない音楽性ではあったのは、誰の耳にも明らかであった。それ故、インディーロックやオルタナティヴなサウンドをこのAdventuresとして鳴らすのはさほど驚きもないのだが、それにしてもこの唄心には驚かされる。Code Orange時とは全く異なる表情をみせるRebaの気怠くも、どこかイノセンス溢れたボーカル。そしてまた、どこか少年の様な印象を聴き手に与えるKimiとのツインボーカルが存分に発揮されたリードトラック “Heavenly” を筆頭に、甘酸っぱくもノスタルジーな楽曲が満載。オルタナティヴなテクスチャーを持ったエモ直系インフルエンスながらも、メロウな側面を持った “Your Sweetness”。スケール感ある故にどこか大きな喪失感を感じる楽曲に、印象的なピッキングハーモニクスのフレーズが絡んでいく “Pure”。Superchunk辺りを彷彿とさせる爽快なメロディーワークのタイトルトラック “Supersonic Home”。そこまでシューゲイザー感は無いが、アンニュイなボーカルワークがStarsを彷彿とさせる “Long Hair”。
もはやこの界隈でプロデュースしていない作品は無いのでは、と思う程に多忙すぎるWil Yipが手掛けたハイファイとローファイの合間を抜くサウンドメイクも秀逸だ。前述のバンドやTigers Jaw、The Hotelier辺りのファンは勿論、Kittyhawk、Pity Sex、The Get Up Kids、Weezer辺りが好きな方には是非聴いて頂きたい至極の一枚。この滲み出るカレッジ感はとにかく秀逸だ。
テキスト:Yuji Kamada