【REVIEWS】Awaken I Am – Shields & Crowns 〜 影は残しつつ、よりモダンなポストハードコア化 〜
Released: 3/25/2015 – ZESTONE
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Closure In Moscowがここ日本でもブレイクを果たして以降、多くの青田刈りリスナーから再び注目を集める様になったオーストラリアのポストハードコアシーン。その筆頭として今や世界的人気を誇るHands Like Housesを始め、Just Like Clockwork、既に活動は止まってしまったがCity EscapeやBuilt On Secretsといった美しいメロディーを武器としたポストハードコアバンドが次々と台頭した。そして同時期に、オーストラリアはブリスベン/ゴールドコーストで産声をあげた彼らもまた然りである。2010年に結成され、一番最初に彼らの名前が日本でも話題となったのは2011年作のEP「Resonance」。プログレッシヴでインテリジェンス溢れるポストハードコアサウンドは、オーストラリアの底力を世界へと叩きつけた傑作であった。その後も2012、2013年とシングルのリリースをはさみ、メンバーチェンジを経て、遂にバンド初のフルアルバムが遂に完成した。
単音のプログレッシヴなフレーズが唄メロと共にグイグイと楽曲を扇動する “Divisions”。デジタライズされたモダンなプログラミングをバックに、現SlavesのJonny Craigをフィーチャーした “The Depths” や叙情的でスケール感の溢れた “Landslide”。ストレートに彼特有のハイトーンを存分に活かしつつ、途中では深遠で低温なパートが顔を覗かせる “Vices” といった楽曲も収録。同じく深遠ながらより妖艶なニュアンスを持った “Seek Solace” や “Exposure”。そして荘厳なコーラスワークの中を切り開いていく様なメロディーラインが非常に印象的な “Capture” 等、どの楽曲も一貫した世界観を持っている。ただし言い換えればやや無難な印象を持ってしまう楽曲達が並んでしまった印象も受けるのも事実。EPのインパクトが強すぎる故仕方ない部分もあるが、ここから新たな体制で進んでいくには充分過ぎるクオリティーを誇る一枚だ。アメリカナイズされ過ぎず、より前衛的な方向性へ進んでくれる事を期待したい。
テキスト:Yuji Kamada