【REVIEWS】Seasons Change – Please Don’t Leave 〜疾走感に包まれたエモーショナルメロディック〜
Released: 4/8/2015 – ICE GRILL$ / No Sleep
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2013年にリリースされたデビュー作「Nothing & Everything EP」が、Real Friends以降の新世代ポップパンク勢の中群を抜くクオリティーであった米カリフォルニア産。2014年にはNo Sleep Recordsとの契約も発表され、待ち望まれた1stフル作がいよいよ発売となった。プロデューサーにはThe Story So FarやState Champsを手掛けるSam Puraを迎えてレコーディングされている。
このバンドは、何よりもその高速ではなく疾走と呼ぶに相応しいスピード感を持った楽曲がとにかく心地よい訳だが、今作もその延長線上にある疾走感に溢れまくっている。シリアスなコード進行を伴ったスピード感、そしてザクザクと刻まれるリフとサビでのキャッチーなメロディーが融合した “Clueless”。さらにスピード感を増して爆走しながらも、どこか刹那と若い世代故の苦悩が見え隠れする “Hope This Stains”。フロントマンAnthonyのハイトーンなボーカルがどんどんと伸びていく様が爽快な “Valentine” や“The Reasons Why” 等、らしい楽曲が満載。しかし彼等の真髄は、実はそんな疾走感の裏に隠された至極のエモーションなのだ。そう感じさせてくれるミッドテンポな“Need to Know” を始め、静と動がどんどんと展開していく “The Reasons Why” や “Feel It” といった楽曲が詰まっている辺り、前作以上に説得力が増した所以なのだろう。そして以前から彼等のファンであるリスナーにとっては代表曲 “Not Sorry” の再録は悶絶モノ。原曲に比べ、より音圧を上げアグレッションの増したバージョンになっており、Liveで演奏している姿が想起させられる。その本国ではシンガロング大会になっているLiveがまた一段と見たくなる最高のミックスだ。
Real Friendsと共に、The Starting Lineのイズムを現行のポップパンクで表現している数少ない逸材だけに、今後もそのエモーションとメロディアスさに磨きをかけてシーンを駆け上がっていく事を願う。
テキスト:Yuji Kamada