【REVIEWS】Hidden Hospitals – Surface Tension 〜アート感、センスを極めしオルタナティヴ〜
Released: 4/8/2015 – Cars & Calories
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ChiodosやThe Fall Of Troyといったバンドと共にEqual Visionの一時代を築き上げた超ハイセンスなプログレッシヴ・ポストハードコアバンドDamiera。そしてThursdayのフロントマンであるGeoff Ricklyが絡んでおり、My Chemical RomanceやMidtownといったバンドを輩出したEyeball Recordsに所属した変態インディーロックバンドKiss Kiss。その二つのバンドのメンバーにより、2011年に結成されたのがこのHidden Hospitalsだ。同年と翌年にそれぞれ発表された「EP 001」と「EP 002」という二枚のEPをカップリングした「EP 001 + 002」が2014年に国内盤でリリースされ、幅広いジャンルのリスナーから大きな賞賛を受けた。そんな彼等がじっくりと時間をかけ練りに練った初のフルアルバムがリリースされた。今作制作にあたり、その資金をクラウドファンディングサイトKick Starterにて公募。結果$12,000という凄まじい金額を集める辺り、彼等がどれだけカルト的な人気を確立しているかが良く分かるエピソードでもあるが、そんな耳の肥えたファン達をも確実に唸らせる作品に仕上がっている。
平穏、焦燥という対極さを同時に感じさせてしまう、まるでRadioheadの「Kid A」辺りを感じさせる冒頭から、突如Museの様な凄まじき音圧のオルタナティヴパートが顔を覗かせる “Pulp”。ミニマルなプロダクションと、アトモスフェリックでオリエンタルな世界観を持った “Rose Hips”。ドローンすれすれの内省感から、スタイリッシュに開放していく “Modern Saints”。スペーシーさの中に見え隠れするポストハードコア感を持ったギターフレーズが印象的な “Animals” での、プログレッション全開になるパートは今作のハイライトとも呼べ、今作ラストを締めるタイトルトラック “Surface Tension” での美しいメロディーに絶句させられる。バンド全体でいえば陰に向いたMutemathと形容するのは今作もまた間違えていないが、よりメンバーのフェイバリットであるThrice(確実に後期)やMuseといったバンドの持っていたアート感とオルタナティヴさが前面に押し出された作品だ。DeftonesやDredgといったバンドが好きなリスナーにも是非聴いてもらいたい。
テキスト:Yuji Kamada