【REVIEWS】Sleeping With Sirens – Madness 〜キャッチーさを増したEpitaph移籍第一弾〜
Released: 4/22/2015 – Epitaph
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全米ビルボードチャート3位を獲得した前作「Feel」以降も、圧倒的な速度でファンを獲得していくシーン屈指のモンスターバンド。そんな彼等がさらなる高みを目指し、古巣のRise Recordsから全米屈指の巨大レーベルEpitaphへ移籍。その第一弾となる4枚目の最新作がリリースとなった。最近ではONE OK ROCKの最新作にフロントマンのKellin Quinnがフィーチャーされるなど、ここ日本でもようやくその名が加速的に広まっている中で初の国内盤リリースともなる。
プロデューサーはお馴染みJohn Feldmann。前作でバンドを去ったギタリスト兼メインコンポーザーJesse Lawsonの代わりに、Cinematic SunriseのNick Martinが加入後初の作品だ。新天地、新体制でのリリースに相応しく、そんな自身をシニカルに奮い立たせるかの様な “Kick Me”。そして2nd作にも収録されていそうなメロディーワークを持った “Better Off Dead”。Kellinのハイトーンとスクリームを活かした “We Like It Loud” や “Parasites” といったこれまでのアグレッションは健在。しかしそれ以上に、作品全体では新たなアプローチが実に多彩だ。Incubusを彷彿とさせる心地よいコード進行から、一気にメジャー感溢れるメロディーへ展開していく “Go Go Go”。そして “Gold” や “Save Me A Spark” では、Walk The MoonやGrouploveを思わせるインディーロック/インディーポップを彷彿とさせるローファイなサウンドメイクを披露。その他にもオーセンティックで美しいロックアンセム “The Strays”、ダンサブルながらどこか退廃的な “Fly”、深遠で穏やかなバラード “November”、メロディーを前面に出しながら、そのサウンドはオルタナティヴな “Don’t Say Anything”、アコースティックとミニマルなサウンドのみで構成されるタイトルトラック “Madness”。そして本当にタイトル通りの曲かは是非自分で確かめて欲しいが、本編ラストに配置されたある種最もオルタナティヴだと感じた “2 Chord” は耳から離れない。
彼等にポストハードコアを求めているリスナーには、少し物足りない作品に聞こえるだろう。その分普段から様々なジャンルの音楽を聴いているリスナーは、聴けば聴くほど新たな発見のある作品だろう。個人的にもバンドを去ってしまったJesseの弾く叙情的なフレーズがほぼなくなってしまった所は残念だが、最早ポストハードコアというものに縛られずその先を見据えたバンドだ、今後の動向も注目するべきなのは間違いない。
テキスト:Yuji Kamada