【REVIEWS】From First To Last – Dead Trees 〜全てをなぎ倒す圧巻の大復活作〜
Released: 4/28/2015 – Sumerian
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現在Skrillex名義で大成功を掴んだSonny Mooreが二代目ボーカルを務めていた事でも知られる、フロリダのポストハードコアバンド。1999年からスタートし2010年に活動休止後、メインメンバーであったMatt Goodは現ChiodosのCraig Owens率いるDestroy Rebuild Until God Shows (通称D.R.U.G.S.) へ加入。同バンドが解散後、2013年遂にFrom First To Lastは再始動を果たした。そしてKickstarterにてEP制作資金を募り$30,000を獲得し、EPを止めアルバム制作へとシフト。PeripheryのフロントマンSpencer Sotelo含め新メンバーを加入させ、6人体制で今作のレコーディングがスタートした。2014年にはオリジナル発表から10周年を記念し、現体制になって初音源である“Note to Self” の再録ver.を発表。これ以上ない大きな話題を生み出した後、EpitaphやInterscope 、Riseというビッグレーベルを渡り歩いてきたバンドは、新たにSumerian とパートナーシップを結び、遂に再始動後初となる5枚目の新作をリリースした。
プロデューサーはデビュー作「Dear Diary, My Teen Angst Has a Body Count」と前作「Throne to the Wolves」を手掛けているLee Dyess。そして今や、バンド唯一のオリジナルメンバーとなったMatt Goodの共同プロデュースとなっている。退廃的な映画のプロローグを彷彿とさせるイントロデュース“Heresy…” から一気に爆走する“Straight To The Face” では、僅か二分にも満たない楽曲ながらラストは壮絶ブルータルに展開。不協和音を撒き散らしたイントロから、Spencerの圧倒的な歌唱力とシンフォニックなサウンドが叩きつけられる“H8 Meh”。ゴシックなメロディーと世界観に包まれながら、そこに光が射していく様なアンセミックなサビへ展開するタイトルトラック“Dead Trees”。トリプルギターだからこそ表現できる独特なアンサンブルを持つ“2 11”。どの曲も超絶モダンでハイブリッドなプロダクションをベースに、アグレッションと耳にこびりつくメロディアスな旋律が共存。何よりもその圧巻のプロダクションに全く負けていない所か、Periphery時とは異なる表情を見せながら抜群の存在感と歌唱力で魅了するSpencerがやはりぶっちぎりで素晴らしい。前述の“Note to Self” に加え、今作にはボーナストラック名義で“Ride The Wings of Pestilence” と“The Latest Plague” も再録で収録。圧倒的モダンに生まれ変わってはいるものの、どこかSonnyへのオマージュとリスペクトを感じられるSpencerのボーカルは、微笑ましくもありながら鳥肌の立つレベルとなっている。
テキスト:Yuji Kamada