【REVIEWS】If I Were You – The Sleepless 〜近代ポストハードコアシーンにおけるブレイクスルー作〜
Released: 4/8/2015 – GO WITH ME
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アメリカNew Yorkにて2011年に結成。本国では配信限定でリリースされていた1st作「End Of An Era」の国内盤が今年2月にリリースされたばかりだが、早くもバンド最新作となる今作がリリースとなった。バンドが影響を公言するAttack Attack!が先陣を切ったエレクトロ要素、そしてWe Came As RomansやIn Fear And Faithが鳴らしたシンフォニック要素を見事にハイブリッドな昨今のポストハードコアと融合させた前作もまた、デビュー作にしては非常にレベルの高い作品ではあったが、今作は当然の如くその先の次元へと到達。世界観こそ大きく変更はないものの、全体的にこれまたバンドが敬愛するErraの様な叙情感とスケール感、そして適度なプログレッシヴさが前面に出ている。
儚い旋律を奏でるシンセとデジタライズされたサウンドが融合したイントロから、泣きのフレーズがたたみ掛ける様に展開していく “Destiny”。よりメロディーを打ち出しながら、物悲しいエレクトロパートと強烈なスクリームが融合した “Memories”。シアトリカルでシンフォニックな幕開けからブレイクダウンを纏う重戦車の様にスタートし、扇動的なフレーズが聴き手を昂らせる “Too Far Gone”。ため息が出るほどに冷たく美しいイントロと、情感溢れたフレーズが個人的には一番ツボだった “Moving On”。そしてラスト “Heavy Heart” ではまさにErra直系のイントロから、一気に疾走。ハードコアのアグレッションを叩きつけたと思えば、クリーンパートではMyka, RelocateやSecret&Whisperを彷彿とさせるハイトーンで魅了していく。
どの曲も、そしてトータルで聴いても、まだ本国でそこまで知名度があるわけでもないバンドとしては異常な程にレベルが高い。昨今のテンプレにはまってしまったバンド達と比べ、まだあきらかに逸脱しているというレベルではないが、要所要所に見え隠れする原石の光はここから益々輝いていく事は間違いない。
テキスト:Yuji Kamada