【REVIEWS】Silverstein – I Am Alive In Everything I Touch 〜確固たる不変を貫きながら産み出された、新たなるコンセプト作〜
Released: 5/19/2015 – Rise
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今回もまた頭が下がる。デビュー作「When Broken Is Easily Fixed」をリリース以降、2年に一枚必ず作品を出している彼等が、何とRise Recordsへ移籍。2000年にカナダで結成以降、一度もストップする事無く、前述のペースで作品を発表してきた事も頭が下がる。しかし最も凄いのは初期から全くその世界観、サウンドのベクトルが1ミリもずれていない所なのだ。Victory、Hopeless、そしてRiseと大きなレーベルを渡り歩いてきながらも、寸分の狂いもない。一時期はそのあまりの不変に心ない意見も目にする事もあったが、ここまで長い年月貫かれれば、もはやそんな愚かな事をいうリスナーもいないであろう。それしかできないのと、それをやりたいからやっている、のは全く意味が違う。彼等はトレンドに流される事無く、絶対的に自分達の鳴らす音に自信を持っているのだ。
プロデューサーは「Rescue」以降の全ての作品を手掛けているJordan Valerioteプロデュース。そして今作はフロントマンのShaneが様々なインタビューで答えていたように、4つのチャプターで分かれていた「A Shipwreck in the Sand」や、A sideとB Sideで分かれていた前作「This Is How the Wind Shifts」と類似したコンセプト作である。今回はBorealis(North)、Austeralis(South)、Zephyrus (West)、Eurus (East) という、言うならば東西南北それぞれの地域における宗教観念や人々の生活においてがテーマとなっている。
メタリックなリフと強烈なスクリームから哀愁漂うメロディーと疾走感が交錯していく “A Midwestern State Of Emergency”。アグレッションと縦ノリがLive映えしそうな “Face Of The Earth”。ファストなハードコア要素が前面に打ち出された “Milestone”。『私は忘れない』という意味を持つフランス語で、母国カナダはケベック州の公式モットーを冠した “Je Me Souviens”。そして、“Massachusetts” の攻撃的な要素と、たたみかける様なメロディーを持った “Always and Never” という個人的に大好きな二曲が融合した様な “Buried At Sea” は必然的にフェイバリットトラックだ。無論その他どの楽曲も徹頭徹尾、純度120%でSilverstein印。確固たる信念、揺るがぬ信念、今作も輝く。
テキスト:Yuji Kamada