【REVIEWS】Chunk! No, Captain Chunk! – Get Lost, Find Yourself 〜これまでの路線を踏襲しながら、ネクストフェイズへ〜
Released: 5/20/2015 – ICE GRILL$ / Fearless
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自分達の立ち位置を、俯瞰した目線で見る事が出来る非常に稀有な存在だ。つくづくその辺が上手いバンドだと思う。次々とトレンドが移り変わっていく昨今のシーンにおいて、一時期彼等の登場以降も爆発的に広まったPopcoreシーンで結局パイオニアを超えるバンドは現れなかった。そんな絶対王者の3rd作がドロップ。だいたい二作目が鬼門だとは言うものの、2ndがデビュー作を踏襲したバンドに関しては、この3rdがまた重要になってくる。アーティストとして次のステップへ行きたいという欲と、リスナーの求めるものに上手く折り合いがつけられずに一気に失速するバンドも少なくない。それまでのサウンドをがらりと変えるのは非常にリスキーだと分かりながらも、中途半端に変わるのは…という気持ちも出てくるのが常ではあるが、その点このバンドはそれが異常に上手い。これまでもそのバランス感覚の良さは誰もが認める所であったはずだが、この3rdで彼等はそれを完璧に証明した。
Music Videoと共に先行で発表された “The Other Line” では、オルタナティヴでシリアスかつセンチメンタルなコード進行が大きな話題に。今作のタイトルやアートワークも含めてダークなニュアンスになるのではと噂が立っていたが、へヴィなギターリフとブレイクダウン、そして陽性のキャッチーなメロディーを持った “Playing Dead”。疾走感とスケール感を共存させた “City of Light” 等、フタを開けてみればその中身は紛れもなくC!NCC!以外の何物でもない。リフなどは彼等らしいのだが、全体的にはこのスケール感が増しているのが確実にネクストフェイズ。アンセミックなバースを擁した彼等流のバラード “What Goes Around”。フォーキーに始まりながら、同じくアンセミックにLiveではシンガロング間違いないコーラスが入り、全体的には王道のポップパンクソングに仕上がっている “Worst Case Scenario”。個人的にはPopcoreを飛び越え、爽快なサビと疾走感を持った “Twist the Knife” が最高に気持ち良い。極上の悪ガキ度合いやパーティー感は薄まっているものの、その分年齢を重ねた円熟さすら既に感じる一枚に仕上がっている。これまで彼等のファンではなかったリスナーも取り込む可能性を、大きく秘めた素晴らしい一枚だ。
テキスト:Yuji Kamada