【REVIEWS】Idlehands – Dena Mora 〜美しき透明なポストハードコア〜
Released: 5/18/2015 – Equal Vision
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2011年、米カリフォルニアで結成されたポストハードコアバンドが、Equal Vision内に創設されたレーベルHeadphone Musicと契約。2012年に自主制作でリリースされ、その翌年にはアコースティックのボーナストラックを追加しInvogueからリイシューされた「Common Soul」に続く、待望の1stフル作だ。その前作で、早耳のポストハードコアファンから大絶賛を浴びた彼等。ポストハードコアという広義な括りの中、Circa SurviveやTides Of ManのアトモスフェリックさとDance Gavin Danceの持つマス要素の間を上手く抜いた様なサウンドが特徴的だが、Closure In MoscowやA Lot Like Birds等数々の名作を手掛けてきたKris Crummettをプロデューサーに迎えて制作されたこの新作は、まさに彼等の特徴をさらにブラッシュアップした様な作品に仕上がった。
哀愁とは違う郷愁を感じさせるアルペジオのフレーズと、適度なオルタナティヴさが融合した “Youth, Too Late”。Closure In Moscowと共鳴しそうなオリエンタルなフレーズが中心を貫く “Floor of Tradition”。そして先行でMVと共に公開された “Filthy Doves” での、際立つエモーショナルなメロディーワーク。Ghost Paradeとのスプリット7 inchで収録されていた、Fairweatherを思わせるリフとホーンの音色がインテリジェンス溢れまくる “Mellow Christ”。Damieraから現Hidden Hospitals辺りを全て内包する様な展開を持つ “Mid-Brain Reward System”。そしてイントロからサビの強烈なまでにアンセム化しているメロディーまで完璧過ぎる “Why We Leave” は、ここ数年のセンスフルなポストハードコアシーンにおいて一、二を争う見事な名曲である事に間違いない。過去にRise Recordsに所属していたEver We Fallというバンド以来だが、歪ませているパートより圧倒的にクリーントーンで鳴らしているギターパートが多い辺り、よりバンドの個性を際立たせているのだろう。アグレッションとは対極に重きを置いたポストハードコア作品としては、今年Dance Gavin Danceに続く傑作だ。
テキスト:Yuji Kamada