【REVIEWS】From Dawn To Fall – B L V R S 〜少年の殻を破り、アダルトかつ大陸的に〜
Released: 5/27/2015 – bullion
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2011年に発表された2nd作「Rising」で日本デビューを果たし、スマッシュヒットを記録。その後の来日やデビュー作「The Beginning」が国内盤化された事も未だ記憶に新しい、オーストラリアと国名が似ているので勘違いされやすいヨーロッパ圏オーストリア出身のポップパンクバンド。そこから約4年という長き歳月をかけて完成させたバンド三枚目となる最新作がリリースとなった。前作はイタリアのポップパンク界頂点に君臨するVanilla Skyのメンバーがプロデュースという事でも話題になったが、今作は同じユーロ圏でいうEnter ShikariやGallows、Young Guns辺りを手掛けており、Sikthのギタリストとしても有名なDan Wellerによるプロデュース。前述の通り長い年月をかけてライティングされた、これまでとは全くといっても良いほどに異なるスケール感を持った楽曲達に華を添えるサウンドメイクを施している。
高らかに鳴り響くギターとスタジアムロックの様なコーラス、エモーショナルなメロディーに一気に引き込まれる “You’re Not Alone”。30 Seconds To Mars、There For Tomorrowの最新作にも通じる低温でモダンな感触を持った “Hymn”。穏やかながら、突如入ってくるシンセの音色にハッとさせられる “Feel”。今作唯一の疾走感と共に、Young Gunsの様なオルタナティヴさを炸裂させる “So Young And So Alive”。前作のポップでキャッチーなニュアンスを持ちながら、途中でガレージ感が暴発する遊び心を持った “Vicious Circus”。そして海底へとどんどん沈んでいくようなスケープが印象的な “To The Deep” と、以前のバンドの音を求めて聴くと肩透かしを食らうリスナーも多いかもしれない。しかしただの成長の証しではないのだ。「今作がバンド最後の作品となるかもしれない」と語りながら、このタイトル(ビリーバーズ) に込めた強き想いを噛み締めて聴いて欲しい。
テキスト:Yuji Kamada