【REVIEWS】The Story So Far – The Story So Far 〜モダンメロディックの真髄、ここにあり〜
Released: 6/3/2015 – ICE GRILL$ / Pure Noise
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013年にリリースされた前作「What You Don’t See」はビルボード初登場46位。今The Wonder Yearsと共にポップパンクシーンの中堅を支えると共に、最も勢いのあるバンドの一つといって過言ではないカリフォルニア産の三枚目となる最新作が到着。昨年にはアコースティックEP「Songs Of」をリリースしつつ、バンドはWarped TourやUK最大級のフェスティバルReading & Leedsのメインステージを始め、数々のビッグアーティストとの共演を果たした。その経験がさらに彼等の完成を刺激し、ソリッドで実直な作品をここに完成させたのだろう。プロデュースはこれまでの彼等の作品を手掛けているSam Pura。ハイブリッドながら、温かみとエモーションを共存させるサウンドを作らせたら、今彼の右に出るものはいないだろう。
心情の柱、それを包み隠さずリリカルに書き綴った “Smile”。横ノリなメロディーラインをたたみかける様に唄う事で新たなグルーヴを生み出す独特のボーカリゼーションを持つParkerの存在感が炸裂する “Heavy Gloom”。バンドのサウンドの軸となるソリッドなギターサウンドが聴き手の心を刻み続ける “Distate” や、低温ながら非常に弦楽器の印象的なフレーズが耳にこびりつく “How You Are”。その言い回しで様々な風景をリスナーに想起させ、何度も何度もリフレインしたくなるミッドチューン “Phantom”。タイトかつエネルギッシュさを叩きつける “Scowl” や “Stalemate” といった楽曲もまさに彼等そのもの。彼等のフォロワーは未だに後を絶たないシーンではあるが、こうして数年に一度リリースされる「本家」 の新作を聴く度に、やはり別格なのだと思わされるのは今作もまた然りだ。何度も向き合って、重ねて、大切にしたい。
テキスト:Yuji Kamada