【REVIEWS】Four Year Strong – Four Year Strong 〜単なる原点回帰にとどまらず〜
Released: 6/3/2015 – KICK ROCK INVASION / Pure Noise
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昨年発表した久々の音源「Go Down in History」EP がPure Noise契約後初音源であり、再びキャッチーで陽性な楽曲を詰めた作品で初期からのファンも大歓喜。現在Pure Noiseをトップレーベルへ押し上げたThe Story So FarやState Champsから、新たにポップパンクを聴き始めた若きリスナーにも訴求。広き世代に再びその名を知らしめる種まきを敢行した後、いよいよ約3年半振りとなる最新フル作をドロップ。満を持して、そしてバンドの本気が伺える初のセルフタイトル作だ。「Go Down in History」は2010年作「Enemy of the World」以来となるMachineがプロデュースした作品であったが、何と今作はバンドと同郷であるボストン最強のカリスマであり、カオティックハードコアの代名詞ともいえるConvergeのKurt Ballouがプロデュース。正直この人選にはかなり驚いたが、ややざらついた感触は残しながらも、その内容は間違いなくFour Year Strong節大炸裂の一枚に仕上がっている。
ノイジーなサンプリングからへヴィでテクニカルなフレーズが炸裂し、そこからAlanとDanのツインボーカルとコーラスワークがたたみ掛けていく “I Hold Myself in Contempt”。さらにへヴィにチューニングされたギターリフと爆走する疾走感、若干The Usedのあの曲を思わせるパートが盛り込まれているのはご愛敬な “We All Float Down Here”。適度なオルタナティヴさとスケール感に加え、どこかストーナー臭すら感じられるサウンドメイクやブレイクダウンまで盛り込まれた “Wipe Yourself off, Man. You Dead.”。硬派でシリアスなコード進行で、メロディックハードコアをFYS流に解釈した様な “Stolen Credit Card!”。RancidやGreen Dayをはじめとした80’s~90’sメロディックの王道ともいえるカッティングやコーラスワークを消化したショートチューン “Who Cares?”。さすがにキーボードこそ入っていないながらも、大名盤「Rise or Die Trying」に収録されていても全くおかしくない程に爽快な名曲 “Gravity”。ファンが喜ぶサウンドを理解しながら単なる原点回帰だけでなく、しっかりとバンドの新たな挑戦も盛り込み、そして最終的にはFour Year Strong以外の何者でもないまさに唯一無二の作品を完成させている。
テキスト:Yuji Kamada