【REVIEWS】I The Mighty – Connector 〜アトモスフェリックさを増し、ポストハードコアのその先へ〜
Released: 6/2/2015 – Equal Vision
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派手なスクリームがある訳でもなく、あからさまなテクニカルさがある訳でもない。正直ここ日本で彼等のサウンドが広く受け入れられるようになるにはまだ時間がかかってしまいそうだが、Billboard Alternative New Artist Chart 初登場一位を記録した今作だ。Equal Vsionと契約後発表されたEPや初のフルアルバムとなった前作「Satori」でもまた、Circa SurviveやDance Gavin Danceといったコアでハイセンスなバンド達のリスナーを魅了してきたが、この新作はまたそのリスナー達をも唸らせ、さらにポストハードコアというだけで見向きもしなかったリスナーすらも巻き込む作品可能性を大きく秘めた一枚となっている。1stフル作リリース以降もデジタルEP「Love Your Sin」や、フロントマンBrent Walshがソロ作をリリースと非常に精力的に活動してきた彼等。その多作な中で産まれ、バンドとして消化させたいという考えで詰められていった楽曲が今作に収録されているとインタビューで語っていた通り、非常にこれまで以上にレンジの広い楽曲が詰まっているのだ。
オルタナティヴで弧を描くスケールを響かせる “Lady of Death” こそ、まさにこれまでの彼等の正当進化といえる楽曲だが、低温でじわじわとソウルフルなメロディーが零れ落ちていく “The Lying Eyes of Miss Erray”。直情的に疾走しながら、キラーチューンというべきアンセミックなメロディーを持った “Adrift”。打ち込みとミニマルなサウンド、そしてそれに反して非常にスケール感のあるメロディーが共存した “Friends” では、Say AnythingのMax Bemisがフィーチャリング。 “Playing Catch With .22”、“Andrew’s Song”ではMutemathやHidden Hospitalsの様なモダンマスロック要素とNational Productの様なモダンエモの要素が融合。
全体的に前作とは比べ物にならない程アダルトかつ妖艶になってはいながらも、彼等らしいオルタナティヴ度合いが損なわれていないのは非常に好感触。
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テキスト:Yuji Kamada