【REVIEWS】Hundredth – Free 〜叙情感だけでない、手に入れたタフネス〜
Released: 6/16/2015 – Hopeless / KICK ROCK INVASION (国内盤7/22)
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The Ghost Insideを輩出して以降、Mediaskareのプライオリティーアーティストとして君臨してきた米South Carolina産。2008年の結成以降、地元を中心にコンスタントにLive活動を行なってきた彼等は、2010年に前述のMediaskareと契約して一発目となる「When Will We Surrender」をリリース。モダンハードコアシーンの中でも群を抜く疾走感と叙情感で一気にファンを獲得した。その翌年には早くも2ndフル作「Let Go」を発表。さらに2013年、2014年には「Revolt」と「Resist」という二枚のEPをリリースと精力的に活動してきた。そしてこの度、インディーレーベル最王手の一つであるHopeless Recordsへ移籍。バンド、レーベル共にNPO活動をしている両者が手を組む事になるのは今考えれば必然ともいえる結果だ。
EPではややアーティスティックな方向性を打ち出していた彼等だったが、今作では2ndの要素をベースにしながらよりオーセンティックでモダンな要素を組み合わせているのが印象的。まさにLiveのオープニングを想起させるイントロデュース “///” から一気に爆走する “Unravel”。相変わらず彼等最大の武器ともいえるこの圧倒的な疾走感は “Inside Out” をはじめ全編で大炸裂。そして叙情だけでなくNYHCの要素を打ち出した “Break Free” やスタイリッシュさすら感じるフレージングを持った “Reach” など、確実にネクストフェイズな楽曲も。勿論 “Isolation” や、今作随一のテンションを持ちながらHopesfallよろしくなラストの展開に悶絶する “Delusion” 等、叙情フレーズもスパイスとして上手く消化。全体的に最初に一周聴いた時はややアグレッションが強過ぎで、とはいえスポーティーと感じる程のブルータル感が無く中途半端な印象を受けたが、二周三周と聴いていくうちにその絶妙なバランス感を持ったプロダクションと共に、何度も聴きたくなる衝動に駆られる。
テキスト:Yuji Kamada