【REVIEWS】Worthwhile – Old World Harm 〜増していく説得力〜
Released: 7/22/2015 – KICK ROCK INVASION / Hopeless
AltPress.jp Rating:
2009年に自主でリリースした1st EP「Miracle Me」で、Set Your Goalsをさらにメロディックハードコア化した様なサウンドを鳴らしていた米カリフォルニア産。翌年もう一枚EP「Not Fixed but Found」をリリースした後、InVogue Recordsと契約。2012年には初のフルアルバム「Carry On Kid」を発表。それまでのメロディックハードコアのアグレッションはそのままに、グッとアーティスティックでありシリアスなサウンドへ変貌。ここ日本ではほとんど話題になる事もなかったが、本国を中心に高い評価を獲得した。そして同作の爆発的人気を足掛かりに、バンドはHopeless Recordsへ電撃移籍。移籍後初となる作品がこの最新作となる。
前述の通り、今作もメロディックハードコアをベースにInVogue所属時代のレーベルメイトであるBeing As An OceanやHotel Booksの様なポスト激情感を加えた前作を、さらに深化させた作風に。Funeral For A Friendの最新作とも共鳴する影のあるコード進行と、がむしゃらな疾走感を織り交ぜたリードトラック “Relentless”。この叙情ハードコアとは一味違う独特のモダンな疾走感が彼等最大の武器であり、エモーショナルなミッドテンポのパートと組み合わせる事により、非常にストップ&ゴーが際立つ“A Fool’s Paradise”。さらにオールドスクールな疾走感を加えまた異なる表情を見せて行く “Journal Of A Mad Scientist”。虚無すら感じるインスト “Lazy Lullaby” からの “No Man’s Land” もまた素晴らしい展開だが、個人的にはオルタナティヴかつ激情感丸出しのスタートでありながら、後半にかけ徐々に徐々に叙情フレーズが顔を覗かせる “Hollow Son” に悶絶させられた。
今やもうこのバンドに無くてはならないJames Teylerの吐き出しオンリー系のボーカルだが、さすがにEP入れて4枚目の作品となるので、次辺りは新たなアプローチが欲しいと思ってしまうのもこれだけ素晴らしい世界観を生み出せた故の欲か。
テキスト:Yuji Kamada