【REVIEWS】We Came As Romans – We Came As Romans 〜まさかのラウド/ニューメタル化〜
Released: 7/24/2015 – Equal Vision
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スクリーマーとクリーンパート担当のツインボーカル。シンフォニックともまた異なるガラス細工の様に美しい繊細なエレクトロと世界観。今もまだ幾多のバンドが続々と現れるポストハードコアシーンにおいて、前述の圧倒的オリジナリティーでリスナーを魅了してきた彼等。Myka, RelocateやCrown The Empire、Whether, Iといったフォロワーも産み出すほどに確固たる地位を築き上げた彼等が、4枚目にしてセルフタイトル作を発表した。「樹」 と「人」 がモチーフになったインパクトあるアートワークはこれまでの延長であるが、その内容はかなりシフトチェンジしている。プロデューサーもここ2作を手掛けてきたJohn Feldmannから、Crossfaithやcoldrainも手掛けるDavid Bendeth御大へ。Of Mice and MenやBring Me The Horizon、Our Last Nightといったメタルコア/ポストハードコア出身ながら徐々にモダンロック化しているバンド達の作品を手掛けている事が多いだけに、彼等もこのタイミングで大きく変化するのでは、という噂も確かにあった。しかしこの新作から先行で公開された “Regenerate” では、過去最高にブルータルではあったものの、そこまで大きな変化は感じられなかった。
そして実際この新作の蓋を開いてみると、全てのリスナーが想像していた以上の変化だ。哀愁漂うスケール感のあるサビがBreaking Benjamin辺りのモダンアメリカンロックを彷彿とさせる “Who Will Pray?”。同じくよりクリスチャン・オルタナティヴ感を出し、RED辺りの要素を感じさせる “The World I Used to Know”。耽美なエレクトロがなったと思えば、一気にPapa Roachの様なラウド/ラップメタルを叩きつける “Tear It Down”。同じくバウンシーなリズムでTraptやTaprootっぽさを感じる “Defiance” や “12:30”。正直これまでの彼等らしいサウンドを求めて聴くと、それらしい曲は “Blue” のみだ。トドメに驚かされるのは、Set It OffやFall Out Boy的なブラックミュージックをポップスに落とし込んだ様な “Savior of the Week”。開いた口が塞がらないリスナーも多い事だろうが、意外にニューメタルをリアルタイムで通っていない世代が聴けばIssuesの様なニュアンスを感じられて新鮮かもしれない。そして、このまま既存のポストハードコアの中だけで音を鳴らしていても仕方ないと考えてのこのシフトチェンジは賛同できるが、正直個人的にはまだまだ迷走感が強く、単純に良いと思えない曲が多いのも確かだ。
テキスト:Yuji Kamada
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