【REVIEWS】Counterparts – Tragedy Will Find Us 〜アグレッションのみならず、叙情感再び〜
Released:7/24/2015 – Pure Noise
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昨年2014年にはBloodaxe Festival含め待望の初来日を果たしたカナダ産ハードコアバンドの4thフル作。名盤デビュー作こそSilversteinのフロントマンであるShaneが当時立ち上げていたVerona Recordsからのリリースだったものの、その後老舗Victoryと契約し二枚の作品をリリースしている。昨年には結成時からのべーシストEric Bazinetが脱退し、遂にオリジナルメンバーがボーカルのBrendan MurphyとギタリストのJesse Doreenのみに。そしてここ二作の作品が叙情感はありつつも、ややブルータルな方向であったので個人的にはあまり期待していなかったのも正直な話だった。しかし、これが驚くほどに原点回帰な凄まじき叙情New School作品となっている。
前述の通り、Victoryから二作をリリースしていた彼等が新たなパートナーシップを結んだのは何とPure Noiseだ。Pure NoiseといえばThe Story So FarやState Champsといったバンドから、最近ではFour Year StrongやHit The Lightsといったバンドまでを擁する今最も勢いのあるPop Punkレーベルというイメージがある方も多いだろう。そんな同レーベルからの新作だけに、「バンドも再び自分達の歴史を見直した」とJesseが発言している通りのサウンドになっている。疾走というよりも爆走という表現がぴったりなスピード感に加え、要所要所にOld Schoolなフレーズを混ぜ込んだ “Stillborn”。同じく爆走しながらも退廃的な叙情感とエモーショナルな展開を織り交ぜていく “Thread” や “Resonate”。ブラストビートからビートダウンまで飛び出す、今作随一のストロングスタイルかつブルータルな “Stranger”。そこから間髪入れずに繋がっていく “Burn”。この曲の中盤から一気にこの作品は叙情度合いを増していく。イントロのアルペジオだけで鳥肌立つレベルにも関わらず、見事なまでに叙情フレーズが交錯していく神曲 “Tragedy”。同じく項垂れる程に泣きのフレーズが炸裂しまくる “Withdrawal”。一閃、闇を射抜く様なリフとテクニカルなリフが混ざっていく、正にモダン叙情の極みともいえる “Collapse”。TAKENやHOPESFALLといった先駆者に最大の敬意を示すかのような展開に、“Drown” で涙腺崩壊。出来れば最初から最後までこの中盤以降のニュアンスで作るか、EPだったら完璧だったのではないかと思うと同時に、1st以来久々に胸熱くなった一枚。もうやめて下さい、殺す気ですか、という内容の叙情作品にこの2015年に出逢えるとは。感謝。
テキスト:Yuji Kamada