【REVIEWS】Knuckle Puck – Copacetic 〜蒼さからエバーグリーンへ〜
Released:7/31/2015 – Rise
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「Copacetic」という全く見た事も聞いた事もない単語を冠した最新作。造語かな、なんて思わず調べてしまったが、「素晴らしい」、「順調な」という意味を持つ昔使われていたスラングだそう。2011年結成以降、年を重ねる毎に、作品をリリースする毎に凄まじい速度でファンベースを広げてきた彼等は正に順調といえる。自主制作で4枚の作品。Neck DeepとのSplitを含めるとBad Timingから2枚をリリースしてきた彼等が、遂にRiseと契約。満を持してフルアルバムのリリースとなる。
Real Friendsや、最近だと日本のCoast To Coastの最新作。そしてこれまでのバンドの作品を多く手掛けてきたABG Recording StudioのSeth Hendersonが今作もプロデュース。心地よい疾走感と爽やかなコード進行に、Joeのエモーショナルなボーカルがのったオープニングトラック“Wall to Wall (Depreciation)”。この一曲だけでも、これまでの彼等の粗削りながらとにかく前のめりでエモーション大放出したサウンドからだいぶ洗練された事が分かる。同じく美しさすら感じる洗練されたサウンドメイクで疾走する “Disdain”。この低音から高音までバランスよく抜けているプロダクションだからこそより映える “Poison Pen Letter” や “Swing” といったオルタナティヴなミッドチューン。さらに “Ponder” や “In Your Crosshairs” 等のバラード。ラスト8分弱、ひたすらに零れ落ちていく展開に空を見上げるしかない “Untitled”。こうした今まであまり打ち出していなかった引きの部分も、非常に耳を奪われる楽曲が多い。そしてそのサウンドスケープは、まさにアートワークや“Evergreen” という楽曲のタイトル通り、これまでの未完成の蒼から一歩先に進んでいるのが印象的だ。
あとはState Champs, As It Is, Neck Deepの様な、ポップパンクリスナーだけでない層を取り込む事の出来る楽曲を産み出せるかどうか。それ次第で次のフェイズへ到達出来るかどうかだろう。
テキスト:Yuji Kamada