【REVIEWS】Bring Me The Horizon – That’s The Spirit 〜エクストリームミュージックから、ロックの頂点に手を伸ばす〜
Released: 9/11/2015 – Columbia / Sony Music Japan (国内盤9/16)
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いよいよだ。昨年MVと共に発表され、これまでのサウンドから大きな変貌を遂げたにもかかわらず、圧倒的な支持を得たシングル“Drown”。その後も発表される楽曲は、明らかにそれまでのBring Me The Horizon像を覆す楽曲ばかりであったにも関わらず、なぜか僕達リスナーはその湧き上がるワクワク感やドキドキ感を抑えきれなかったはずだ。キーボーディストJordan Fish加入後初となった前作「Sempiternal」でも今作への布石となる様な楽曲はあるにはあったものの、作品全体でここで大きく舵を切ってきたのは流石の一言。今までの様に著名なプロデューサーを立てず、JordanとフロントマンOliver Sykesの共同プロデュース。「今のバンドにプロデューサーは必要ない。その為に用意したお金はメンバーのフィットネス代に充てた」 という話の真偽は定かではないが(笑)、この作品を一聴すれば少なからずバンドだけでどれだけ素晴らしいサウンドメイクが出来るか良く分かる。そして前作まで在籍したEpitaphを離れ、新たにColumbiaと契約。まさにサウンド面だけでなくバンドとして新たな一歩を踏み出しながら、ここで安易にセルフタイトルを冠する事をしない事もセンス溢れている。
映画”Drive”に新たなサウンド・トラックを付けるという”BBC Radio 1″の企画に提供された昨年発表の新曲 “Don’t Look Down” はさすがに収録されなかったが、同曲の尖がりまくったダブステップとは真逆ともいえるアンビエントなチルステップをバンドで表現したかの様なオープニングトラック “Doomed”。そして今作のタイトルワードにもなっているSpiritをシンガロングパートへ割り当て、「居心地の悪いこの世界も君と僕が幸せな曲を大声で唄えば大丈夫だ」という印象的な歌詞を持つ “Happy Song”。今作から二本目のMVで発表された “Throne” では、Linkin Parkも真っ青なモダンで近未来感満載のサウンドを叩きつける。今作制作中にはMuseやPanic! At The Disco等のシネマティック要素も取り入れると語っていた発言通りのサウンドメイクを施した “True Friends”。同じくインフルエンスの一つとしてJane’s Addictionのオルタナティヴ要素を挙げていたが、“What You Need” でのグラマラスでセクシーなサウンドはまさに直系ともいえる。そして全体的なコンセプトとしてインディーロックを掲げていたが、“Follow You” での内向感や “Oh No” での単なる取り入れ方ではないスタジアムロック要素やダンサブルなサウンドとの融合は、確実にバンドの新境地のみならずロックシーンの新たなるフェイズといっても過言ではないだろう。デスコア/メタルコアから始まり、作品をリリースする毎にステップアップして辿り着いた本作。変化を恐れないどころか圧倒的な説得力を持つボーカリストとしてまだまだ進化を続けるOliverや、Bring Me The Horizonとしての世界観は変えずにさらなる高みを表現する演奏陣。正直“Drown” が群を抜く名曲すぎるだけに致し方ないにせよ、その他の曲が少しだけ薄れて感じたのも事実。今後もメロディーで勝負するのであれば、この曲を超えるアンセムを産み出せるかどうかが鍵となりそうだ。しかし今作が素晴らしい作品である事は間違いなく、これまでがそうであったように彼等は必ず自分達を超えてくる。
Bring Me The Horizon「That’s The Spirit」
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テキスト:Yuji Kamada
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