【REVIEWS】Motion City Soundtrack – Panic Stations 〜初期サウンドとオルタナ要素の融合〜
Released: 9/18/2015 – Epitaph
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エモ、パワーポップ、パンクを独特のセンスで掛け合わせながら、圧倒的にキャッチーなメロディーでオンリーワンな存在感と確固たるファンベースを築いてきた彼等の6枚目となる最新作。前作でColumbiaを離れ、再びEpitaphと自身のレーベルであるThe Boombox Generation共同名義でのリリースとなっていたが、今作はEpitaph単独名義でのリリース。プロデューサーは、これまでにDinosaur Jr.やSonic Youthといったオルタナ/インディーロックの数々の名盤を手掛けてきたJohn Agnello御大である。彼等のサウンドが今作で大きく激変した感は少ないが、特にギターやベースの鳴りに関しては完全にオルタナティヴそのもので聴けば聴くほどニヤリとさせられる。そして一曲目の “Anything At All” や “Heavy Boots” に代表される、ここ数作で徐々に色の薄れていたパンキッシュな要素と青いメロディーが復活。さらに、初期から彼等の武器であったムーグシンセが再び大々的にフィーチャーされた楽曲も多数。そのムーグの音色を活かしながら、“TKO” や “Lose Control” といったWEEZERよろしくな極上のパワーポップ。人懐こく温かなメロディーラインが人肌恋しくなる季節に沁みる、“I Can Feel You” や “The Samurai Code” と、バリエーションに富んだ楽曲が収録されている。初期のスタイルを復活させながら、オルタナティヴな要素をMixさせたこの素晴らしい作品の最後を締め括る “Days Will Run Away” は個人的に反則レベルの名曲。耽美なピアノのサウンドからどんどんとエモーショナルになる展開、不変的な美しいメロディー、バンドの歩んできた道を彷彿とさせる様な歌詞の内容に、思わず涙が溢れた。
テキスト:Yuji Kamada