【REVIEWS】No Devotion – Permanence 〜漆黒のニューウェイヴ〜
Released: 9/25/2015 – Collect
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2011年に解散したThursdayのフロントマンであり、現United NationsのGeoff Rickly。そしてご存知の通り2013年にフロントマン問題により解散を余儀なくされたLostprophets。そんなUKとUSバンドのメンバーが、新たに結成したのがこのNo Devotion。Thursdayのラストアルバムのタイトルが「No Devolución」だったのは、偶然か後付けなのかは定かではないが非常に興味深い。そしてLostprophets解散から約半年後にはこのバンドの始動がアナウンスされた事を考えると、共にトップバンドであり顔見知りではあったものの、どれだけ共鳴したのかが良く分かる。こうして結成された彼等のサウンドは、メンバーがこれまでやってきた音楽とは一味も二味も異なっているのだ。まるでJoy DivisionやNew Order、The Cureといった80年代から90年代のニューウェイヴ、ポストパンク、マッドチェスターを彷彿とさせるサウンドをベースに、シューゲイザーやドリームポップを掛け合わせたようなオルタナティヴサウンド。
シンセポップを基軸としながらも、浮遊感と退廃的な世界観を持ち合わせた “Break”。大きな会場で演奏した時には身震いするほどの多幸感に包まれるだろう “Permanent Sunlight”。もろにマッドチェスターな “Eyeshadow”。ピアノの旋律がダイナミズムの中へと消えていく、印象的なサウンドスケープを持ったインストナンバー “Death Rattle”。タイトル通り、夜の闇に吸いこまれていく様な美しいシューゲイズサウンドが心地よい “Night Drive”。今作からの1stシングルとなった “Stay” では、昨今のインディーポップ感もミックスしたキャッチーなメロディーが。3rdシングルとなった “Addition” こそ、イントロのリフのみLostprophets感を思わせるが、作品全体ではとにかく退廃的で美しい。Geoffがこういったサウンドを好きなのはThursdayの後期を聴けば良く分かり、さらにその本場UK出身であるex.Lostprophetsのメンバーがいるのでそこまで驚くべきサウンドではないが、それにしても高いクオリティーのニューウェイヴ/オルタナティヴロックとなっている。プロデューサーはThursdayの作品も手掛けたDave Fridmann。そう、The Flaming LipsやMercury Rev、Mogwai、MGMTといった作品をプロデュースしてきた巨匠だ。そしてAt The Drive-InやBloc Partyを手掛けてきたAlex Newportという二人による共同プロデュース。納得の一枚ともいえるだろう。
No Devotion「Permanence」
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テキスト:Yuji Kamada