【REVIEWS】A Skylit Drive – ASD 〜原点を見つめ直す、ポストハードコアの王道〜
Released: 10/9/2015 – Tragic Hero
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2005年米カリフォルニアにて現在のフロントマンMichael Jagminを中心にハイスクールのメンバーで結成。しかし一年も経たないうちにJagは脱退し、当時活動していたOdd Projectの二代目ボーカルに就任。バンドはJordan Blakeを新たなボーカリストに迎え、ローカルシーンで力をつけた後2007年にTragic Heroと契約。同年デビューEP「She Watched the Sky」をリリースした。しかし今度はJordan Blakeがバンドから脱退。Jagが再加入となった。翌年にはJagがボーカル初と同時にバンド初のフルアルバム「Wires…and the Concept of Breathing」をTragic Heroからリリース。一気にバンドの知名度は上昇し、Fearlessと契約。2009年には2ndフル作「Adelphia」、2011年には3rdフル「Identity on Fire」を発表した。その後リードギタリストJoey Wilsonが脱退したものの、メンバー間でパートをコンバート。そして2013年には前作「Rise」を再びTragic Heroからリリース。しかしその後べーシストとドラマーが脱退と、中々思う様に活動出来ない期間もバンドは歩みを止めずアコースティック作品「Rise: Ascension」をリリース。その逆境をモノともしない精力的な活動はまだまだ止まらず、新メンバーにMichael Labelle (ex.Of Reverie) とBrandon Richter (ex.Motionless In White) を迎え、遂に完成させたのがこの5枚目となる最新作だ。
ベースとドラマーの脱退が音楽性の違いというアナウンスメントだったが、今作は初期からのファンは歓喜のサウンドだろう。ポストハードコアを貫きながら、ここ数作は徐々にメタルコアとはいえないまでもアグレッションを増してきた彼等。しかし今作ではポストハードコアのど真ん中ともいえる世界観とサウンドメイクになっている。叙情的で浮遊感のあるリフに、アンセミックなバースがのる “Bring Me a War”。まさに05年~07年辺りのポストハードコア直系といえる疾走感、スクリームとクリーンパートが交錯する “Self/Less”。突き抜けるサビと、マイナーコードからメジャーコードに変化していく展開が気持ち良い “Oblivion”。アグレッションと振り切れ方が尋常じゃない “I’ll Sleep When I’m Dead”。昨今のポストハードコアと呼ばれるほぼメタルコアに近いサウンドのバンドとは違い、圧倒的な疾走感を持つ楽曲が多いのが逆に新鮮。そして何よりJagが自慢の超ハイトーンを抑え、バンドの一部となっている事で、一体感が過去最高に生まれているのが印象的だ。
A Skylit Drive「ASD」
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テキスト:Yuji Kamada