【REVIEWS】Fightstar – Behind The Devil’s Back 〜UKの“憂い”、完全復活〜
Released: 10/16/2015 – Self
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人気絶頂の中解散したポップパンクバンドBustedのメンバーであったCharlie Simpsonを中心に、2003年に結成。2005年にリリースした1st EP「They Liked You Better When You Were Dead
が、エモの名門Deep Elmからリリース。さらに翌年にリリースされたフルアルバム「Grand Unification」でメジャーデビュー。Lostprophets、Funeral For A Friendに続くUKバンドとして一躍注目を集めた。2007年には早くも2ndフル作「One Day Son, This Will All Be Yours」、2008年にはレアトラック集「Alternate Endings」、2009年には3rd「Be Human」と毎年何かしらの作品をリリースするが、バンドは2010年に活動休止を発表。ソロや別プロジェクトにてそれぞれのメンバーは活動。一度2012年に再始動しレコーディングを行う予定だったものの叶わなかったが、2014年、いよいよバンドは本格的に再始動した。レコーディングをおこないながら、地元ロンドンで10周年記念Showが開催され、チケットは数分で完売。相変わらずの人気を見せつけた彼等は、その後もDownload Festival等のイベントに出演し、徐々にそのブランクを埋めていった。そしていよいよ、約6年振りとなる再始動後の最新作がリリース。メンバーチェンジもなく、Charlieは同時期に再始動したBustedにも不参加で作り上げた一枚だ。
一曲目の “Sharp Tongue” からいきなりモダンなメタルコアのイントロにブッ飛ばされるが、唄メロが始まった途端に耽美で物憂げな「これぞFightstar」と言わんばかりの世界観へ展開。美しいプログラミングからJamesの繊細なボーカル、そしてFuneral For A Friendを想起させるスケール感とエモーションを持ったメロディーを力強く唄うCharlieに、鳥肌立ちまくりの “Murder All Over”。バンドが敬愛するDeftonesをはじめとしたモダンへヴィネスとポストハードコアが融合したタイトルトラック “Behind The Devil’s Back”。同じくバンドが敬愛するRadioheadやMuseを思わせる独特の美しい旋律を、Fightstar風にアレンジしたような “The Blackest Of Birds”。疾走感と共に爆走するメタルコアソングかと思えば、サビで一気に広大になる “Sink With The Snakes”。同じく、とにかく美しく力強く、エモーショナルなメロディーにただただ天を見上げるしかない “Overdrive”。活動休止前のラスト作のコンセプトからリンクする様なタイトルを持った “More Human Than Human” からの “Animal”。1stフル作以降はどんどんとコアに、アーティスティックに進化していた彼等だけに、今作でここまでマジョリティーのある楽曲が並ぶ作品になるとは誰も思っていなかっただろう。とはいえ、UKらしいあの憂いを帯びた曇り空感は濃縮。Funeral For A Friendが解散を発表した年に、彼等がこうして活動を再開してくれた事が何よりの救いだ。
Fightstar「Behind The Devil’s Back」
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テキスト:Yuji Kamada