【REVIEWS】Crooks – Are We All the Same Distance Apart 〜モノクロに咲く耽美の華〜
Released: 10/30/2015 – Equal Vision
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2012年に初音源「Nevermore」 をリリース後、2013年にシングル「Above Me」、2014年に二曲入りのシングル「Still」 とコンスタントに音源は発表。しかしほぼノンプロモーションであり、本国UKのみ、じわじわとその頭角を現してきたUKの最終兵器がEqual Visionと契約。発表後、瞬く間になんだこのバンド?!と世界中で話題となっていたのも記憶に新しいが、遂にその全貌が露わになるフルアルバムがリリースだ。プロデュースはBring Me The Horizonから5 Seconds of Summerまで幅広く手掛けてきたDan Lancaster。これが2015年も年末に差し掛かるリリースながら、今年を代表する程にとんでもないクオリティーを誇る一枚に仕上がっている。
前述の既発のシングルに新たな息吹を吹き込んだ “Above Me” から、その色のない世界が幕を開ける。オルタナティヴなポストハードコアをベースにしながら、2003~05年辺りのアメリカ東海岸のバンドの世界観を彷彿とさせる退廃的な美しさ。そして “What Might Have Been” や “Dear Reader”、タイトルトラック “Are We All the Same Distance Apart” に代表されるパンクバンド譲りの圧倒的疾走感。これが昨今のUSバンドには圧倒的にかけており、とにかく新鮮。さらには “May Be” や “Windy Little Town” では漆黒のポストロック/New Ageを思わせる、ため息が漏れるほどの深遠さ。その静と動を行き来しているうちに、僕等リスナーは絶望と喪失の間に挟まれ身動きが取れなくなってしまっている事に気付かされる。息苦しい。美しい狂気に殺される事は快感なのでは、と錯覚をしてしまう程に息苦しい。
Crooks「Are We All the Same Distance Apart」
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テキスト:Yuji Kamada