【REVIEWS】Myka, Relocate – The Young Souls 〜トレンドを取り込んだだけに終わらぬ、類稀なるセンス〜
Released: 10/30/2015 – Razor & Tie / Artery
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2010年、米テキサスで結成。Artery Recordingsと契約し、2013年にリリースされた前作「Lies to Light the Way」で一気に注目。同作は国内盤化もされ、Invogue所属のWhether, Iと共にWe Came As Romans直系ツインボーカルのポストハードコアバンドとして認知された。その後も数々のナショナルアクトとステージをシェアし、ファンベースを確固たるものにした彼等が放つ待望の2ndフル作が到着だ。同世代のツインボーカルバンドとしてCrown The Empireのブレイクが記憶に新しいが、今作はIssuesを彷彿とさせるパートが詰まった一枚となっている。プロデューサーは先日新作をリリースしたばかりのGet Scaredも手掛けていた売れっ子プロデューサーEric Ronに加え、多くのRise系バンドを手掛けるJoey Sturgis共同プロデュースという盤石の布陣で制作。
透明感とへヴィネスが同居するエレクトロからJohn Ritterの強烈な咆哮が叩きつけられた後、即座にMichael Swankの美しくもイノセンスあるクリーンパートが交差する “Hide The Truth”。続く “Bring You Home” では逆にMichaelからスタートして交互に展開していく中、サビでは一気に疾走。このバンドらしいツインボーカルを存分に活かした楽曲ながらも、最近あまり疾走する事のないモダン・ポストハードコア界をあざ笑うかのような展開にグッとくる。同曲では、完全にIssuesを思わせる縦ノリ感とデジタライズされたブレイクダウンも搭載。そして、スクラッチ音まで搭載した “New Again”。さらに “Only Steps Away” では、Tyler Carter直系のソウル感を自身のフィルターで昇華させている。勿論、繊細なシンフォニックで叙情感あるパートが随所に散りばめられた “Damage” や、彼等の武器となっている要素が圧倒的スケール感で融合したタイトルトラック “The Young Souls” 等、これまでのファンも確実に満足できる楽曲が収録されている。まだまだトレンディーなバンドの持つ要素をMixさせただけで、オリジナリティーのない二番煎じバンドとして評価される事もあるかもしれないが、その組み合わせるセンス、そしてそのレベルの高さはこの世代で随一。何よりもクリーンパートのメロディーの良さは、デビュー作で感じたもの以上に研ぎ澄まされている。
Myka, Relocate「The Young Souls」
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テキスト:Yuji Kamada