【REVIEWS】VEARA – Growing Up Is Killing Me
Released: 9/24/2013 – Epitaph
若々しさを忘れないままでいるということは難しいものだ。クリエイティブな情熱は、年を重ねるごとに薄れ行くもの。しかし、そのような心配はVearaにとっては無用なようだ。ジョージア州オーガスタ出身の4人組が作り上げた3枚目となるこの作品は、誰もが経験する20代の思い出を綴り、世の中や友達に対する淡い幻想を払拭して自我に目覚めることを考察した作品となっている。アルバム冒頭から、格段にレベルアップした彼らの技術を聴き取ることが出来るだろう。パンチのあるパワーコードもダイナミックさを増している。サウンドにも深みが増し、バックで重ねられた楽器の音は厚みを増している。エモコアらしいアグレッシヴさはより攻撃的になり、ハーモニーとテンポも見事に整っている。明らかに彼らのミュージシャンとしてのスキルは上達しており、アルバムの各トラックの魅力を増すものとなっているのだ。彼らの音楽を聴いた人々に、時の流れは人を成長させる事を実感させる作品になっているとも言える。
“あっという間に過ぎていく人生、その日々は過ぎ去って思い出が残される。ページをめくるように、そうやって生きていくものなんだ”と、ヴォーカルBradley Wyrosdickは “The World Won’t Wait” という青春のアンセムというべき楽曲で歌っている。アルバムのハイライトを飾る楽曲 “None Of The Above” は、謎めいた内容になっている。まさに初期のBad Religionを感じさせるものであり、Wyrosdickの将来の姿を垣間見られるのではないだろうか。彼はこう歌っている。“もうこれ以上は隠せない。単に興味がないだけか、決めかねているだけなのか。でも結局俺はどうしたらいいかわからないままだろう”と。”Don’t Call Me Lucky” では、夢を追いかける事に対して否定的な考えを述べ、”Paralysis By Analysis” では否定的な考えを止めようと歌う。そして、彼の友人関係の悪化を歌った “Separate Ways” や、裏切られた経験を歌う “Fake Blood”、悲しみを歌う “Lens Of Truth” など、彼自身のプライヴェートな内容が綴られている楽曲が並ぶ。
Vearaの音楽は、ポップパンクというべきものだろう。しかし、彼らのアルバムを聴けば、様々なジャンルからの影響を感じられるアプローチを聴き取れるはずだ。ブレイクダウンやさりげないスクリームは、アップビートでフックが効いた楽曲との良いコントラストになっている。”Lens Of Truth” のブリッジパートは、Fountains Of Wayneのようなパワーポップ的なアプローチだ。楽曲の途中で入るブレイクもチャレンジ精神溢れるものだろう。特に “Separate Ways” で耳にするムーディーなパワーコードは、スローパートへ通じるブレイクパートを際立たせるものとなっている。
アルバム後半になっても勢いを失うことなく、文句無しの素晴らしい楽曲が並ぶ。それは彼らの実力というべきだろう。タイトルトラックでもある “None Of The Above”、リズミカルなビートが心地よい “Don’t Call Me Lucky”、意気揚々とした “The World Won’t Wait” といった楽曲は、一瞬でファンの心をつかみ取るものではないだろうか。
「Growing Up Is Killing Me」の全曲ストリーミングはこちら
テキスト: Chris Parker
翻訳: Ken-Ichiro Arima/有馬健一郎