【REVIEWS】Neck Deep – Life’s Not Out To Get You 〜00’s以降から現代までのPop Punkを内包〜
Released: 8/15_2015 – KICK ROCK INVASION / Hopeless
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Fearless RecordsからはAs It Is。そしてHopeless RecordsからはこのNeck DeepやRoamが。昨今UK出身の新世代Pop Punkバンドが全米をも巻き込み世界中で大きな注目を集めている中、その先頭をひた走る彼等の2ndフル作がリリース。新曲がアップされる度に今作への期待がグングンと高まる声が多くあがっていたのも印象的だったが、実際前作から大きく進化した作品になっている。プロデューサーはThe Ghost Insideの「Dear Youth」でタッグを組んでいたAndrew WadeとA Day to RememberのフロントマンJeremy McKinnon。そしてex.A Day To Rememberのギタリストであり、現在までに数々の名作を世に送り出してきたTom Denneyという盤石の布陣だ。
本作から最初にMVと共に公開された “Can’t Kick Up The Roots” で、State Champの様にそれまでのEasycoreから王道のPop Punkへ変化した作品になるのではと予想されていた通り、全体的にはこれまで以上に広いリスナーの耳を奪う作品になっている。しかし、作品は “Citizens Of Earth” の「漢」 ともいえる硬派なハードコア感のある幕開けでしっかりとサプライズ。続く “Threat Level Midnight” で一気に爽快に疾走し、バンドの新たなPop Punkアンセムを高らかに鳴らす。そして彼等が敬愛し、現在レーベルメイトであるNew Found Gloryを彷彿とさせるメロディーラインとFour Year Strong的アグレッションを併せ持つ“Kali Me”。本作から二本目のMVとなった、オーセンティックなPop Punkと近代の前のめり要素を融合させた“Gold Steps”。西海岸Pop PunkやDrive-Thru全盛期を彷彿とさせる疾走感とリフを持った “Lime St.” や “Smooth Seas Don’t Make Good Sailors”。同じく陽性な世界観を持った “The Beach Is For Lovers (Not Lonely Losers)” では、終盤に向かい徐々にエモーショナルな展開に。その余韻をアコースティックナンバー“December” に繋げる曲順もお見事。その他にも今作唯一マイナーコードを多用してシリアスに駆け抜ける“Serpents” や、力強くスケール感溢れた “I Hope This Comes Back To Haunt You” など一辺倒に全くなっていないバリエーション豊かな楽曲達が並ぶ。そしてラスト “Rock Bottom” では、バンドがこれまた敬愛するBlink-182の名曲“Man Overboard” をオマージュしたかの様な、印象的なイントロのベースラインでスタートする辺りにニヤリとさせられる。
まだ二枚目となる作品ではあるが、自分達がシーンの中でどういう立ち位置にいるのか、そしてファンやリスナーがどの様なサウンドを求めているのか。それをよく俯瞰し、考え抜かれた上での楽曲バリエーションや曲順だ。アートワークにも沢山描かれている「目」 がそれを象徴している様に、彼等はこの上昇気流にのっている中でも決して浮き足立つ事なく、全てが見えている。そんな印象すら受ける完成度の高い一枚。
テキスト:Yuji Kamada
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