【FEATURES】What’s Eating Gilbert, デビューアルバム「That’s New Sound You’re Looking For」インタビュー 〜このプロジェクトを始めたのは、頭の中にいつもメロディーが浮かんでくるからなんだ〜
APフリーペーパー8月号掲載!
New Found GloryのギタリストChad Gilbertが2010年にスタートさせた50’s ポップスをコンセプトにしたソロプロジェクト What’s Eating Gilbert。これまでEpitaphなどからEP、シングルをリリースしてきたが、Hopeless Recordsからいよいよ1stフルアルバム「 That’s New Sound You’re Looking For」をリリースした。記念すべき1stアルバムにはフィアンセでもあるParamoreのHayley Williamsも参加、NFGとは一味違ったChadのポップセンスが存分に発揮された作品となっている。今回、日本初上陸となるこのプロジェクトの名前の由来からコンセプト、新作について、さらには今話題のストリーミングサービスについての考えまでをもChadにたっぷり語ってもらった。
“シンプルで楽しいストーリーがあって、人々がみんな歌いたくなり、その曲を聴くことによって、幸せになることができる。それが音楽だと思う。そしてそれこそが、僕がやりたいことなんだ。”
──まずはこのプロジェクト名の由来からお聞きしたいのですが、この名前は映画「What’s Eating Girbert Grape」(ジョニーデップ主演映画)からきているのですか?
Chad Gilbert(以下Chad): そうだよ!僕の兄弟がこの映画を見せてくれて、閃いたんだ。兄弟と映画に行くことが、僕の中でとても良い思い出になっているからね。この映画が学校で人気になった時、僕は「gilbert grape」と呼ばれていたんだ。だからこのプロジェクトにピッタリだ!と思って、この名前にしたんだよ。
──このプロジェクトはもう5年以上続けられていますが、プロジェクトをスタートさせたきっかけは何だったのでしょうか?
Chad: このプロジェクトを始めたのは、頭の中にいつもメロディーが浮かんでくるからなんだ。それを歌にしようとしたとき、僕の両親が聴いていたような、オールディーズのサウンドが含まれていることに気づいてね。でもそれはNew Found Gloryのスタイルではないから、僕自身の曲を書いてみよう!と思ったんだ。
──50年代POPをコンセプトにしているようですが、このコンセプトでいこうと思った理由を教えていただけますか?
Chad: 最初の数曲が出来るまでは、この方向にしようとは考えていなかったんだ。曲を書いて歌い始めたとき、自分の頭の中に、両親が聴いていたようなオールディーズが染みついていることに気がついてね。音楽的な面では、僕自身の中にある伝統的な部分、そして僕が大切にしていきたいものを合わせたんだよ。
──このコンセプトを始める上でモデルとなるアーティストや人物はいたのでしょうか?
Chad: Roy Orbison, Loretta Lynn , Johnny Cash、そしてStand By Me Soundtrackかな。僕は古い映画のサントラが本当に好きなんだ。
──今までEpitaph、Paper + Plastic, Bridge Nineからリリースしてきて、今回1stアルバムはHopelessからのリリースとなるわけですが、これはHopelessからリリースしようという話があったのですか?
Chad: New found gloryは、Hopeless Recordsととても良い関係を築いているんだ。僕に対して正直でいてくれて、僕自身が居心地の良い人たちに対して、僕も常に正直に、忠実でありたいと考えていてね。彼らはNew Found Gloryに素晴らしい影響を与えてくれて、僕たちの音楽に対する情熱と気持ちを深く理解してくれているから、とても信頼しているんだ。彼らとのこの関係は、ずっと続けていきたいと考えているよ。
──どの曲もオールディーズを彷彿とさせるポップでキャッチーな楽曲で、当時のラジオから流れている曲を聴いているような気持ちになりました。こういう雰囲気を作る上で、歌詞やサウンド面でこだわった部分はありますか?また今回のアルバムを作る上でキーになった曲はありますか?
Chad: 作品をリリースするにあたって、音楽のルーツ的なものを表したいと思っていた。パンクだけじゃなくて、ロックンロール全体を表現したかったんだ。音楽って、たまに、ワガママなものになっていると思う。もちろん、人々が自分の表現したいものをそのまま作品にするのは、とても素晴らしいことだよ。でもそれって同時に、自分自身のクリエイティビティを人々に称賛してほしい、というマインドにもなり得ると思うんだ。ただ単に評価を受けて、人に印象を与えるだけ、という事態にもなりかねない。でも音楽は本来、聴いてくれる人のために作られているものなんだ。シンプルで楽しいストーリーがあって、人々がみんな歌いたくなり、その曲を聴くことによって、幸せになることができる。それが音楽だと思う。そしてそれこそが、僕がやりたいことなんだ。僕自身のためにではなく、リスナーのみんなが楽しくなってくれるような音楽を作りたいんだよ。
──リードリシングル “You’re The Most” のMusic Videoの監督もしたそうですが、初めてのMV監督はいかがでしたか?
Chad: この時はやることがたくさんあって、実はストレスも多かったんだ。撮影している間は僕自身のヴィジョンも反映しつつ、良いものを作らないといけなかったからね。エキストラのみんなには彼らの役割を話して、しっかりと準備して来るように伝えたんだ。とても貴重な経験だったけれど、同時に大きなエネルギーが必要だった。出来あがったものに関しては、すごく満足しているよ!後悔していることは何もないけれど、次はもう少したくさんの人にヘルプをお願いしようと思っているんだ。
──50年代らしいパステルカラーの衣装や部屋のセットもすべてあなたのアイデアだったのですか?
Chad: このビデオを観て、ファンのみんながアルバムを聴いてくれているような感覚になってほしい、と思ったんだ。アルバム自体はとてもカラフルな作品だから、ビデオもカラフルにしたんだよ。セットやコスチュームは自分で選んで、色を合わせ、自分の家のガレージで色をつけたりもしていたんだ。
──今回アルバムにHayleyも参加していますが、彼女との作業はいかがでしたか?
Chad: 実は、とてもカジュアルなプロセスだった。ギターを弾いて曲を作って行き、完成したら彼女がコーラスのアイディアを考える。僕たちはとても仲が良いから、大変な作業とか、大きな力を擁するプロセスという感覚では無いんだ。一緒にいるのが楽しいし、僕たちは音楽が大好きだから、自然な流れなんだ。
──またAP MAGのカバーにも2人で登場していますが、こちらの撮影はどうでしたか?
Chad: とても楽しかったよ!表紙を飾ってほしいと言われたとき、僕たちはちょっと不安だったんだ。なぜなら僕たちは人から特別な存在だと思われたくないし、自分たちの関係性を見せつけることもしたくなかったからね。すべてのカップルは、パーフェクトじゃない。どこかしらに、何かがあるんだ。でもこの先の将来、自分たちを振り返ったときに、共に表紙を飾ったことが素晴らしい経験になるんじゃないかな、と考えてね。だから、ドレスとタキシードを着る形でオファーを受けたんだよ。それによって、僕たち自身が自分たちのことをどれだけシリアスに考えているか、理解してもらえると思ったからね。
──自身で歌うWEGとNFGでは作曲するプロセスも違ってくるのでしょうか?
Chad: うん!New Found Gloryはメンバー全員で意見を交換して、曲を作ってる。What’s Eating Gilbertは僕だけだからね。
──WEGを始めたことでNFGへフィードバックされることもあるのでしょうか?
Chad: うーん、どうなんだろうね?それに関しては、よくわからないんだ。というのも、それぞれにアイディアがあって、影響し合っているとは感じていないからね。でも今の状態は自分の創造性をキープし続けてくれているし、練習を重ねたりギターをたくさん弾くことで、より良い自分に成長していくことができると思っているよ。
──WEGをより楽しむためにも聴いておいた方がいい、50年代POPSのおすすめアーティストを教えていただけますか?
Chad: Roy Orbison, Buddy Holly, Loretta Lynn, Dion, Johnny cashだね!
──話は変わるのですが、Apple Musicが開始したことで日本でも本格的にストリーミングサービスがスタートして、日本でも色々と議論が起こっています。SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスについてどういう考えをお持ちですか?
Chad: 今の段階では、すべて無料するべきだと思っているんだ。もしバンドが音楽でお金を稼ぐことができないなら、なぜ金持ちがストリーミングのシステムを作ったんだ?他の芸術の分野ではこんなことってないし、アーティストにお金が入らないのであれば、お金をとるべきじゃないと思ってる。これが、僕が無料であるべきだと思う理由なんだ。もしファンがアルバムのアートワークが欲しいのであれば、彼らはその作品を購入できるし、そうでないなら無料でダウンロードさせてあげる、で良いんじゃないかな?音楽を作ってもいないストリーミングの開発者に、お金を払う必要はどこにもないと思ってるよ。
──What’s Eating Gilbertとしても日本でライヴを観れる日を楽しみにしています!最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
Chad: 僕が大好きな人たちでいてくれて、本当にありがとう。日本は、僕の大好きな国なんだ!君たちの音楽への情熱はどの国よりも素晴らしくて、僕はそこが愛しくてたまらないんだよ!
What’s Eating Gilbert「That’s New Sound You’re Looking For」
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Hopeless Records / KICK ROCK INVASION
EKRM-1318 / ¥1,800(w/o tax)