【FEATURES】The Used Japan Tour2015ライヴレポート@ 8/3恵比寿LIQUIDROOM
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AP TOUR JAPAN2013以来、2年ぶりとなるTHE USEDの来日公演。2002年の衝撃的デビュー作『THE USED』でスクリーモ・シーンを牽引する存在となった彼ら。最近はバートの絶叫という看板を下ろし、楽曲の良さに比重を置き成熟した音楽スタイルに変えつつも、熱狂的なファンを持つバンドとして健在である。その証拠にHopeless Recordsにレーベル移籍以降もAL『Vulnerable』(2012)が全米8位、AL『Imaginary Enemy』(2014)も全米14位を記録するなど、堂々たる結果を残している。その最新作のリリース後、初となる来日だ。クインがバンドを離脱中ということもあり若干の不安を抱えていたが、前夜の大阪公演を絶賛するツイートが多く、少しホッとした気持ちで会場に到着した。
オンタイムの7時からゲスト・バンドのCrystal Lakeが登場。気合い十分のパフォーマンスで30分にわたって盛り上げた。その後、往年のHR/HMの名曲オンパレードの転換BGMに聴き入っているうちに、フロアは期待に胸をふくらませたファンで埋め尽くされていく。8時の定刻で暗転。バンドの登場SEが流れるとオーディエンスの手が吸い寄せられるように天井へ真っ直ぐ伸びていく。
ファン狂喜の“Maybe Memories”でライブの口火が切られるのと同時に悲鳴にも近い叫声がフロアを充満する!その反応を眺めるバートはとても穏やかな笑みを浮かべている。続いてもシンガロング必至の“Take It Away”。10年以上経っても色褪せることのないこの2曲の流れは反則だ!”Bird and The Worm”、“Listening”が続けざまに投下された!この時点で涙腺が崩壊したファンもいただろう。ただ、ここ数年のライブと同様にバートの絶叫はない。バートの叫びを期待しているファンかもしれないが、いまのTHE USEDはスクリーモ・バンドではなくロックバンドだということだろう。
「調子はどうだ、トウキョウ!楽しんでるか?」4曲一気にプレイして、バートがオーディエンスに語りかける。フロアにスクリームを要求すると、即座に全力で応えるオーディエンス。既にバンドとオーディエンスの間には強固な絆が結ばれている。「次の曲はラブソングだ」という紹介でプレイされたのが“I Caught Fire”。さらにフロアをハイ・ヴォルテージに引き上げた“The Taste of Ink”から“All That I’ve God”、“Buried Myself Alive”へと続いていく。クインに代わってギターを弾いているSAOSINのジャスティンの演奏はなんの不安もなくバンドにうまくとけ込んでいる。
この日はファースト・アルバム『The Used』とセカンド・アルバム『In Love And Death』からの楽曲中心のセットリストで、初期からのファンにとっては血管がブチきれるナンバーの応酬だ。そしてとどめの一撃“Blue And Yellow”!MCを挟んで、最新作“Imaginary Enemy”からの名曲“Cry”、そしてAL『Artwork』から“The Best of Me”へと続く。バートの絶叫に注目が集まっていた初期のバンドの魅力とは違った、聴かせることで勝負できるクオリティの高い楽曲だ。
ジャスティンのアコースティック・ギターにのせて、バートがマイクに魂を吹き込むように歌い上げる“On My Own”は個人的に最も印象的なシーンだった。予測不能な狂気と危うさを持ち、波乱に満ちた人生を歩んできたバートが穏やかな表情で歌う姿は、未だに信じられない。15年のバンド活動で音楽が持つチカラに気づき、音楽は世界を変えられると訴える彼を目の当たりにしていること自体が感動的だ。
最後はAL『Lies For The Liars』からの“Pretty Handsome Awkward”で本編を締めくくった。もっとも、“この曲が最後の曲になるけど、俺たちがステージを降りたらアンコールが起こって、もう一曲やるから安心してくれ”というバートらしいMCがあったので、オーディエンスはアンコールへの準備万端だ!アンコールは、rage against the machine、NIRVANAの曲を織り交ぜた“A Box Full Of Sharp Objects”で終演!
会場を後にする汗だくのオーディエンスの満足げな表情が今夜の充実ぶりを物語っていた。75分に渡る名曲オンパレードのショウは今後語り継がれるだろう。THE USEDの存在感、そしてバンドとファンの間に結ばれた絆が再確認できた素晴らしい夜だった。
THE USED | 8.3.15
Liquid Room | Tokyo, Japan
Maybe Memories
Take It Away
The Bird and the Worm
Listening
I Caught Fire
The Taste of Ink
All That I’ve Got
Buried Myself Alive
Blue and Yellow
Cry
The Best of Me
On My Own
Pretty Handsome Awkward
[Encore]
A Box Full of Sharp Objects
(rage against the machine & NIRVANAのカヴァー)
テキスト:Osamu Sawada
写真:Nobuya Fukawa
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